外資系とどう競っていくのか
そして東京のホテルはいま大規模な更新期にある。
1964年東京オリンピックと1970年大阪万博に合わせて続々と開業したホテルの建物は老朽化が目立つ。ホテルオークラ以外にもザ・キャピトルホテル東急、パレスホテル、赤坂プリンスホテル(現ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町)が全面建替えをすでに断行し、帝国ホテルも2036年までに全面建替えとなる。
ホテルニューオータニ、京王プラザホテルは2000年代になって大規模改修工事を実施したが、この二つもいずれ建替えか再開発の道が選択されることになるだろう。また都市計画公園内にあることで困難だった東京プリンスホテルの建替えも、東京都の規制緩和(公園まちづくり制度活用)によって道が開かれそうだ。
三井不動産、三菱地所、森ビル、森トラスト――。これらの大手デベロッパーによってつぎつぎと誘致されてきた外資系高級ホテル、その攻勢にさらされることで国内系主要ホテルの危機感は高まり、本格的な事業再構築を決断させたという側面がある。
ただ、三井不動産は帝国ホテルの最大株主であり、傘下の三井不動産ホテルマネジメントが高級ホテルブランドも持っている。また三菱地所もロイヤルパークホテルズを完全子会社として持っているのだから、両社ともに「グループ内競合」を内包しているわけだが。
いずれにしても世界有数の観光都市となった東京や京都、大阪のホテルは、そうしたカオス状態のなかで新旧交代が進んでいき、予期しないようなまったく新しい産業ステージを迎えることになるのかもしれない。
永宮 和
ノンフィクションライター、ホテル産業ジャーナリスト
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