水道光熱費の節約で月160万円をカット
なかでも水道光熱費分科会の作業はたいへんだった。オイルショックや円高がとんでもない打撃となったからだ。
ボイラー用燃油の価格は、第一次オイルショックが起こる以前の1973年1月時点では1キロリットルあたり1万円強だったが、翌年4月には3倍に跳ねあがっていた。電力料金も87パーセント、ガス料金も59パーセントそれぞれ値上げされていた。その結果、総売上高光熱費比率は、値上げ以前で1.6パーセントほどだったものが、なんと4パーセントにもなってしまった。
そこで、需要減退によって生じはじめた客室の空室分を、空調ゾーンごとにまとめる客室アサイン上の工夫を徹底し、一部の空調系統を停止することなどで月額160万円の経費削減を達成することができた(1975年1月の前年同月比較)。ただこれについても、それだけ宿泊客が減少していたためという側面もある。
大型シティホテルの場合、外部業者に委託している範囲は客室清掃、配膳、館内清掃、機器点検保守、警備など多岐にわたる。だから一つひとつをみなおして効率化していけば費用はかなりの額を削減できる。しかしそれは裏をかえせば、気を抜けば委託費はどんどん膨張していくということである。
現場は本来の仕事に専念したいし、なるべく楽をしたいので、外部委託による補助を求めたがる。それを聞き入れていると委託費用は際限なく膨らんでいく。うそのように儲かっていたバブル期はまさにそうだった。
なにか負の環境変化が起こったとき。それを好機として、それまでに溜まった「無駄」を都度、削り落としていくことは、不確実性がますます増している企業経営にとって必須といえる作業だろう。
開業時からの経費管理の担当重役で、時局対策委員会設立当時は社長だった青木寅雄は「わたし自身の50年にわたる企業人としての生活のなかでも、今日ほど先の見通しの困難なことはなかった」と社内報で従業員たちに訴えた1)。
1)『ホテルオークラ社内報』1975年9月20日発行号
永宮 和
ノンフィクションライター、ホテル産業ジャーナリスト
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