いつまで賃貸?
まだ60代とはいうものの、ガンを経験したことからも、そろそろ自分の相続も考えないといけないと思い、相談に来られたのです。江守さんが一番迷っていたことは、自宅に関してでした。
今の住まいは住み慣れてはいるものの、賃貸物件ですのでこの先もずっと家賃を払うことになりますが、果たしてそれでよいのかということでした。
江守さんの財産は不動産の所有はなく、すべて現金と有価証券の金融資産で、基礎控除の4,200万円をはるかに超えているため、相続税が課税されることがわかりました。
また、このままではずっと家賃を払い続けることになります。同じところにずっと住み続けるのであれば、今までの信頼関係もあり問題ないかもしれませんが、新たに借り換えする場合では、高齢になるほど借りにくくなります。
不動産は必要
そこで、現金があるのであれば、自宅を購入することをお勧めしました。人生100年時代といわれる今、この先も10年、20年と自宅での生活が続きます。自宅不動産を購入するだけで、評価は購入価格の半分以下に下がり、居住用の小規模宅地等の特例が使えるようになります。現金のままよりは確実に節税になるだけでなく、老後の住まいの不安も解消できます。
戸建てか?マンションか?
江守さんの現在の賃貸住宅は、一戸建てで、子供が小学生になるときから15年ほど住んでいます。一人息子は来年から社会人になる予定で、夫婦2人暮らしになるかもしれないといいます。
これから自宅を購入するには、今まで通りの一戸建てがいいのか、マンションがいいのか、どちらでしょう? という質問もありました。
60代の夫婦の住まいを考えると、これから庭の手入れなどはだんだん負担になり、老後は2階も使わなくなるのが一般的な状況です。となると、駅に近い分譲マンションのほうが優先順位が高いと判断されます。そのほうが評価が下がり、節税効果が高いこともあります。
妻への贈与も検討
江守さんは自分で自宅を購入しようと検討されていますが、配偶者には2,000万円まで住宅取得資金を贈与しても贈与税がかからない特例があります。それを活用して2人の共有名義で購入しておけば、さらに節税にもなるとアドバイスしました。
今回は江守さんが1人で相談に来られましたが、自宅についていろいろなアドバイスをもらえたので、妻とも相談して早めに自宅を購入したいと、方針が整理できてよかったと、ほっとしていました。
財産が金融資産だけというのはシンプルで楽に思えますが、相続税の課税対象になり、特例も使えないことから、自宅だけでも不動産は持ったほうがよいと言えます。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
注目のセミナー情報
【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション
【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
