自宅を売却した
数年前に母親が亡くなったむつみさん(54歳)。父親は故人で、兄(60代)と2人が相続人です。
母親はひとり暮らしをしていましたが、それも大変となり、80歳を過ぎてからは、自宅を売却して、高齢者施設に入居しました。亡くなる5年ほど前です。
自宅のマンションは2,000万円で売れたので、老後の資金の不安はなかったといいます。それだけでなく、父親が亡くなったときにも預金を相続していますので、母親の預金は合わせて4,000万円以上あると確認していました。
預金が引き出されていた
高齢者住宅に入るときの手配や保証人は兄が引き受けましたので、預金の管理もその流れで、兄が行っていました。
母親が亡くなったとき、兄はむつみさんに対し、こう言いました。「母親の預金は1,000万円。自分が600万円もらうので、400万円渡してやる」と。
その言葉に不信感を持ったむつみさんが相談に来られました。5年前はもっとあったことを確認しているとのこと。
兄が通帳も見せないというので、むつみさん自身で預金の入出金明細を入手して確認することをアドバイスしました。
むつみさんが明細を取ってみると、母親が高齢者施設に入ったあと、3年程で3,000万円程が引き出されていることが判明しました。50万円ごとに何度もですので、窓口ではなく、カードで引き出したと思われます。
母親がひとりで銀行へ出向くことはできず、まとまった額が必要ではないため、兄が引き出して、もらってしまったとむつみさんは想像しました。むつみさんは、兄に明細も見せて問い詰めましたが、自分は知らないと言うのです。
兄は「知らない」の一点張り
兄との話し合いが進展しないため、致し方なくむつみさんは家庭裁判所に調停を申し立て、互いに弁護士に依頼して、分割協議をしました。
調停はむつみさんは知り合いの弁護士に依頼し、調停が終わったあと、むつみさんから報告を受けました。
兄は「引き出したお金は知らない」の一点張りで、結果、むつみさんの主張は認められず、残った1,000万円を等分に分けてあきらめるしかなかったというのです。
兄から「絶縁状」が届いた
調停の遺産分割の条件として、兄から「絶縁状」にも印を押すようにと主張されそれにも従ったということです。
むつみさんに落ち度はないはずで、高齢の母親が使った形跡もないところが、真実も明らかにされずに、兄の主張がまかり通る結果となり、むつみさんは理不尽で悔しい思いが残ったと話されました。自分が頼んだ弁護士にも不信感が残ったと。
家庭裁判所では円満な分割はできず、「絶縁状」を条件とする手続きになり、なんとも割り切れない結末と言えます。むつみさんは「こうなる前にもっとこまめに兄に確認しておけばよかった」とうなだれていました。
相続実務士のアドバイス
遺産分割がまとまらない、うまくいかないとき、多くの方は家庭裁
しかし、預金が引き出されている事実が発覚したとしても、通帳を
相続になってしまってからではこうした結
もし、兄
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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