(※写真はイメージです/PIXTA)

2015年ごろに急増したサブリース物件の家賃の大幅な値下げが予想される「サブリース2025年問題」。家賃の値下げにより、サブリース物件のオーナーは想定していた賃料が減額され、ローンの返済が厳しくなるリスクが生じます。来たる2025年に向け、どのような対策を取るべきなのでしょうか?法律事務所Zの溝口矢弁護士が解説します。

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サブリース業者から賃料減額請求をされたときの対処方法

1.契約内容の確認

サブリース業者から賃料減額請求をされた場合、マスターリース契約の内容を確認しましょう。

 

ポイントは、普通建物賃貸借契約(期間満了後に賃貸借契約の更新がある)と定期建物賃貸借契約(期間満了により賃貸借契約が終了するもの)のどちらにあたるのか、賃料を減額しない旨の特約があるかどうかです。

 

仮に、定期建物賃貸借契約であり、賃料を減額しない旨の特約がある場合には、賃料減額請求に応じる必要はありません(借地借家法第38条第9項)。

 

他方で、普通建物賃貸借契約の場合には、賃料を減額しない旨の特約がある場合でも賃料減額請求につき対応する必要があります。仮に請求に根拠があるのであれば減額に応じなければならず、根拠がないのであれば適切に争わなければならなりません。

 

2.交渉

サブリース業者から賃料減額請求があった場合は、その根拠について確認をしましょう。そもそも減額の根拠がない場合や、その根拠をもって減額する必要性が認められない場合もあります。また、減額に応じざるを得ない場合でも、減額する金額につき交渉の余地があるかもしれません。

 

交渉は慎重に行う必要があります。訴訟に発展した場合に、交渉時のちょっとした言動が不利に働くことも少なくありません。具体的には、賃料の設定の経緯に関する不利な事実を認めてしまうケースもまま見受けられます。

 

判例は、事業用賃貸物件に関してサブリース業者から賃貸人に対して賃料減額請求がなされた事案で、賃料減額請求の当否や相当賃料額を判断するにあたり、衡平の見地に照らして契約締結に至る経緯や契約締結当初に賃料額を決定する際の事情等を考慮するとしています(最高裁平成15年10月21日判決(平成12年(受)第123号))。

 

そして、サブリース業者の賃料減額請求を否定した裁判例もあります。たとえば空室発生を理由とした賃料減額請求が認められなかった裁判例、千葉地方裁判所平成20年5月26日判決(平成17年(ワ)第1967号))、逆ざや状態を理由とした賃料減額請求が認められなかった裁判例(東京高等裁判所平成23年3月16日判決(平成22年(ネ)第6377号))などです。ただし、結論を一般化できるものでないことには注意が必要でしょう。

 

交渉にあたっては、このような判例・裁判例を参考にしつつ、個別具体的な事案を分析し、適切な方針を立てたうえで対応しましょう。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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