事前準備がカギ…「税務調査」当日までの流れ
税務調査のうち、事前に連絡を受けて調査が行われる任意調査が入る際の大まかな流れについて見ていきましょう。
事前通知
任意調査の場合、最初は税務署から「事前通知」と呼ばれる、税務調査を行う旨の連絡が入ります。
任意調査とはいえ、納税者には「受忍義務」と呼ばれる税務調査への協力や質問に答える義務があるため、税務調査への協力を要請された場合断ることはできません。
事前通知は、税務調査が実施される日の1~3週間前に行われるのが一般的です。事業所等における税務調査は1~3日ほどかけて、平日の営業時間帯(おおむね午前10時から午後4時頃まで)の間に実施されることが多いようです。
税務調査を拒絶することはできませんが、出張や入院など、やむを得ない事情がある場合に日程調整をすることは可能です。税務調査当日に税理士が同伴する場合には、税理士との日程も確認する必要があるため、税務調査の事前通知があった場合には
・税務調査の実施日時や日数
・税務調査で訪問される場所
・税務調査の理由(開示されないことが多い)
・実地調査なのか行政指導なのか
・税務調査の種類(実地調査で個人の場合は着眼調査・一般調査・特別調査等)
・担当者の氏名や所属
・訪問する担当者の人数
・調査対象となる年度
などをヒアリングして、営業予定や税理士のスケジュールなどを確認してから返答するようにします。
税務調査に対応するための準備
事前通知を受けて日程調整が完了したら、税務調査が実施される当日までの期間で調査に対応するための準備を行います。
通常、事前通知から税務調査当日までは2~3週間程度の猶予があるため、この間に少なくとも次の点を確認しておきましょう。
・申告時提出書類の確認
税金を申告した際に作成した書類や貸借対照表、損益計算書などの提出書類をチェックします。年度順にファイリングして漏れや抜けなどがないかを確認しましょう。
・領収書や請求書、各種伝票などの確認
申告時に提出する必要がない領収書や請求書、入出金伝票などの各種書類についても、税務調査では確認や提出が求められます。申告時に提出した書類と同様に、年度ごとに月別にまとめてチェックし、すぐに提出できる状態にしておきます。
・帳簿や台帳などの整理
源泉徴収簿や給与台帳、棚卸管理表などの各種帳簿類も年度、月度、科目別に分けて見やすく整理し、記帳内容と相違がないか確認します。調査日当日までの現金勘定が正しく記帳されているかもチェックしておきましょう。
・収入印紙の貼付確認
契約書や領収書など、収入印紙の貼付が必要な書類に貼付漏れがないかを確認します。稟議書や証憑書類など、架空の契約でないことを証明する書類もすぐ提示できるように整理しましょう。
・調査場所の整頓
税務調査が実施されるオフィスや倉庫、店舗の棚や在庫、金庫やデスク回りなどは確認しやすいように整理整頓しておきます。
代表者と経理担当者はパソコン内のデータを確認されることもあるため、不要なファイルなどは整理しておきましょう。
・税理士への相談
上記の確認や整理に加えて、税務調査当日に同席できる税理士がいる場合には、当日までに必要な準備についてアドバイスを受けましょう。
専門家のサポートを受けつつ、質問が想定される内容についての確認や、スムーズに返答できるためのシミュレーションなどもしておくと安心です。
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