税務調査とは
まずは、税務調査とはどのようなものなのか、概要や種類について見ていきましょう。
納税者の申告内容に誤りがないかを確認する調査のこと
税務調査とは、国税局や税務署などが納税者に対して申告内容に誤りがないかを確認するために行う調査のことです。
法人や個人事業主として事業活動を行っている納税者の場合、毎年(毎期)1年分の収入と支出を自主的に申告し、決められた税率を元に算出した税額を納める義務があることが法律で定められています(申告納税制度)。
ほとんどの納税者はこのルールを守って毎年申告・納税を行っていますが、なかには不正や脱税行為をはたらく人がいます。また、税法は定期的に見直し、改正が行われるため、知らないうちに適正な申告・納税ができていないケースなども出てきます。
税務調査では、不正を見つけてペナルティを課すことで公平性を守るほか、納税者を適正な申告・納税へと導く目的から実施されるものとなっているのです。
税務調査は「秋」に行われることが多い
税務調査がいつ行われるかについて、国税庁では明確な時期などは特に公表されていません。しかし、法人の決算年度が多く、個人の確定申告の期限もある3月前後は税務署の繁忙期となるため、業務が落ち着いてくる秋頃に税務調査が行われることが多いといわれています。
また、税務調査が行われる頻度としては法人が3~10年に1回、個人が5~10年に1回程度ともいわれています。
とはいえ、こうした時期や頻度はあくまでも目安となり、春や夏に税務調査が実施されるケースもあれば、数年のあいだに複数回税務調査が実施されるケースもあります。
税務調査の種類
・強制調査
多額の脱税行為やその他犯罪の隠ぺいなど、悪質だと判断された場合に実施される税務調査です。国税局査察部によって行われ、裁判所より令状も発行されるため、強制的に調査が実施されます。
証拠隠滅や逃亡を防ぐ目的などから、納税者に事前の確認や同意を求められることなく、ある日突然自宅や事務所などに調査官が訪れ、書類や帳簿、パソコンやスマートフォンなども調査対象として押収されることもあります。
強制調査後に悪質と判断された場合、追徴課税の対象となるほか、検察庁への告発も行われるのが一般的です。
・任意調査
税務署や国税局の調査官などによって実施される税務調査です。一般的な法人や個人事業主が対象となり、多くの場合は事前に調査をする旨の連絡が入ります。
現金取引がメインの店舗など、例外的に抜き打ちで調査が入るケースもありますが「税務調査の連絡が入った」「税務署から調査の連絡が来た」という場合には、この任意調査であることが多いでしょう。
任意調査では、税務署や国税局から納税者へ調査に協力してもらうよう同意を求めてから行われますが、任意といっても納税者は税務調査を拒否することはできないため注意が必要です。
任意調査では、税務署や国税局の担当者が事務所や店舗へ直接訪問して行う場合もあれば、電話や書面、税務署への来署依頼などを要請して調査を行う場合もあります。
また、任意調査で悪質性が疑われた場合、さらに厳しい「特別調査」に移行するケースもあります。
このほかにも、税務調査対象の納税者の取引先に対して行う「反面調査」や、税務調査対象者の現況を調査する目的で、事前の連絡なく抜き打ちで実施される「無通知調査」など、いくつかの種類に分けることができます。
強制調査は事前になんの連絡もなく実施されるため、対応や対処法を考える余地はありませんが、任意調査の場合は事前に連絡を受けるケースが多いため、対応方法について準備することができます。
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