(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。任意と聞くと「では断ってもよいのか」と考える人もいるでしょう。しかし、任意とはいいつつも、調査を拒否することはできません。いったいなぜなのか、税務調査における「受忍義務」や調査時に注意すべきポイントについて、税理士法人松本の代表税理士松本崇宏氏が解説します。

税務調査には「受忍義務」がある

まずは、税務調査の受忍義務とはなにかについて解説します。

 

「受忍義務」とは、税務調査に対する“納税者の義務”のこと

納税者が税務署から税務調査や帳簿書類などの提示または提出を要求された場合、拒否したり妨げたりしてはいけないことが法律で定められています(国税通則法第74条の2)。

 

税務調査の受忍義務とは、納税者は正当な理由がない限り、税務調査に応じなければならない義務のことを指します。

 

税務調査官には「質問検査権」がある

税務調査の調査官には「質問検査権」と呼ばれる権利があります。質問検査権とは、税務調査の際に必要となる資料の確認や情報の聴き取りなどができる権利です。税務調査における主な質問検査権には、次のようなものが挙げられます。

 

・納税者に対する質問

「この月から急に経費が増えているのはなぜですか」「なぜこの取引先だけ売掛金の回収が遅いのですか」など、税務調査において必要とされる質問を納税者に対して行う権利です。

 

・書類、資料の検査

帳簿類や領収書、請求書、パソコン内のデータ、契約書や各管理表、台帳など、税務調査において必要とされる書類や資料、データなどを確認し、内容を検査する権利です。

 

・書類、資料の提示・提出要請

上記検査で必要な書類や資料、データについて、納税者へ提示または提出、閲覧などを要請する権利です。

 

任意調査において、調査官が質問検査権を行使するためには、納税者の承諾が必要となります。納税者が拒否すれば質問検査権を行使することができなくなってしまうため、納税者には質問検査権を拒否してはならない「受忍義務」が法律で定められているのです。

 

質問検査権を拒否したらどうなる?

調査官の質問検査権を納税者が拒否した場合、国税通則法第128条では1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることが定められています。

 

質問検査権と受忍義務は、納税者の承諾がなければ質問検査権を行使できないが、納税者は拒否すると罰則の対象となります。このように、事実上、拒否することができないため、間接強制調査とも言われています。

 

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