3月11日~3月17日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント>
・先週、米ドル/円は一時146円台まで下落が拡大。日米金利差縮小とヘッジファンド(以下HF)など投機筋の積極的円買いが主導した模様。
・投機筋の円買い越しは過去最高を大きく更新、「行き過ぎ」懸念も強くなってきた。ただ日米金利差拡大が限られるなら、円「買われすぎ」修正の円安への影響も限定的か。
・今週の米ドル/円は146~150円で予想する。
先週の振り返り…米ドル/円、148円台へ一段安
先週の米ドル/円は、この間の安値を大きく更新、一時147円を割れるまで続落しました(図表1参照)。2024年11月の米大統領選挙でのトランプ氏勝利以降の安値は148円台でしたが、それを下回り2024年9月末以来の水準まで下落したわけです。
このような米ドル/円の下落は、基本的には日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に沿ったものでした(図表2参照)。日米金利差は1月20日のトランプ大統領就任式前に拡大が一巡し、その後は縮小傾向が続きました。そういった金利差縮小に沿う形で米ドル/円も、158円から先週は147円を割れるまで下落したわけです。
そしてもう1つ重要なこととして、このような米ドル/円の反落とHFの売買が基本的に連動したということがあったのではないでしょうか。
HFの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、1月に158円で円安がピークを打ったところで売り越しがやはりピークとなり、その後は米ドル安・円高が広がる中で円買い越しに転換、そして買い越しが急拡大し、今回の米ドル安・円高を主導したようになったのでした(図表3参照)。
円安から円高へ転換するなかで、HFも円売りから円買いに転換するのは当然のようですが、注目されたのはその水準です。2024年7月に161円まで米ドル高・円安となったところで、投機筋の円売り越しは18万枚と過去最高規模に達したのに対し、2025年1月に158円まで米ドル高・円安となった際には、円売り越しはたった3万枚にとどまりました(図表4参照)。
そのうえで、先週にかけて大きく米ドル安・円高が広がるなかでは、円買い越しが13万枚と過去最高を大幅に更新するところまで急拡大したのでした。以上のように見ると、HFなどの投機筋は売買戦略を円売りから円買いに大きく転換したように感じられます。では、それはなぜなのか。
3日、トランプ大統領が日本や中国は通貨安誘導していると批判した上で、それを止めなければ関税を課すと語りました。米国の貿易に不利益となる通貨安を是正しないなら関税を発動するといったトランプ大統領の「通貨政策」と、HFの円売りから円買いへの戦略転換は連動しているように感じられます。
以上のように見ると、先週までの米ドル安・円高は、日米金利差縮小とともに、トランプ政権の「通貨政策」にHFなどの投機筋が便乗し、米ドル売り・円買いを主導した影響が大きかったということではないでしょうか。




