晩婚・出産年齢の上昇で「子育て」と「介護」が重複
20代~30代前半で出産し、子どもに一番手のかかる時期を過ぎた後に親の介護がやってくる……。子育てと介護の時期がズレることで、厳しい局面でもなんとか乗り越えられるということもあります。
ところが、結婚年齢や出産年齢の上昇で、由美さんのように子育てと親の介護が重なり、どうにもならなくなるケースが増えています。
一般的に高齢出産と言われるのは35歳以上。厚生労働省『人口動態統計(確定数)2022年』によると、出生数77万759人のうち、35~39歳で出産した人数(全体における割合)は18万3,327人(23.78%)、40~44歳は4万6,338人(6.01%)、45~49歳も1,600人(0.20%)います。
35~49歳を足すと29.99%と、実に約3割が高齢出産だということになります。
一方で、生命保険文化センターのデータ(厚生労働省『介護給付費等実態統計月報』/2023年9月審査分、総務省『人口推計月報』/2023年9月確定値をもとに作成)によれば、年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合は、75~79歳で11.8%、80~84歳で26.0%、85歳以上で59.5%。80代全体では85.5%と大多数が何らかの支援や介護を受けていることがわかります。
由美さんのように30代後半で結婚、それから出産をして数年したら親が80代目前に……そんなケースは少なくありませんし、晩婚・出産年齢の上昇傾向に伴い、さらに増えていくでしょう。
そうすると、子育てと介護の同時進行で「ダブルケア」になる可能性も増していきます。
勢いで退職して共倒れにならないために
ソニー生命の『ダブルケア(子育てと介護の同時進行)に関する調査2024(※)』によれば、「数年先にダブルケアに直面する見込みがあるか」という質問をしたところ、約5人に1人がダブルケアに直面する可能性があるという結果になりました。
※大学生以下の子どもを持つ30歳~59歳の男女(16,926名)に調査
つまり、多くの人にとって決して他人ごとではないということです。また、由美さんのように「子育て」「母の介護」のみならず「仕事」「父の身の回りの世話」まで担わなくてはならなくなるケースも。
このようなケースでは、安易な離職は禁物です。離職をすれば、収入がなくなるだけでなく国民健康保険や年金の負担などで、驚くほど支出が増えます。
まずは会社に相談し、介護休暇や介護休業の取得、給付金などを活用することを考えるべきでしょう。また、親の介護にあたっては公的な介護サービスもしっかり活用を。「家族の中でなんとかしたい」と考えても、共倒れになっては元も子もありません。
また、ダブルケアのリスクが突然……というケースよりも、事前に予想がつくことのほうが多いでしょう。家族で「もしものときはどうするか」を早めに話し合いをしておくとともに、使える制度・仕組みについて情報収集をしておくことが、いざというときに慌てることなく冷静に判断をする一助となるのではないでしょうか。
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