この泥棒猫が!84歳母の〈1,500万円の土地〉を妹が勝手に売却!通帳を持ち去った妹の呆れた言い訳に〈55歳女性〉が怒り心頭のワケ【相続の専門家が解説】

この泥棒猫が!84歳母の〈1,500万円の土地〉を妹が勝手に売却!通帳を持ち去った妹の呆れた言い訳に〈55歳女性〉が怒り心頭のワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

優里さんの母親は一人暮らしをしており、資産管理に不安を抱えています。妹が無断で土地を売却し、母親の通帳も持ち去ったことで、姉妹間に深刻な信頼問題が発生。優里さんは、母親の資産管理と遺産分割を円滑に進める方法について悩んでいます。相続実務士の曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、遺産分割協議を円満に進めるための具体的な対策について解説します。

母親はひとり暮らし。資産管理ができなくなった

優里さん(55歳)の母親は84歳。一人暮らしをしています。父親は15年前に亡くなり、母親の相続人は長女の優里さんと3歳下の妹です。


優里さんと妹は、それぞれ同じ市内で別に住んでいます。二人とも離婚しており、子供たちと生活しています。


優里さんは実家から徒歩3分程度のところにある母親名義の土地に、自分名義の建物を建てて住んでいます。妹は賃貸マンションです。
 

母親は身体は元気なので日常生活は一人でなんとかできますが、この数年間で自分の資産管理などを一人でするには不安な状態になりました。

 

妹が土地を無断で売却した

3年ほど前、母親が自宅の他に所有している土地と建物を、優里さんには内緒で売却したことがあります。


母親が自分の意思で、目的があってのことであればいいのですが、これは母親の意思というよりは、妹が主導したことであると、あとからわかりました。


しかも、売却した代金が振り込まれた母親名義の通帳を持ち帰っていました。母親は会話はでき、サインもできる状態ですが、自分から進んで決断することはないので、妹に言われるまま売却したようです

 

通帳も全部、持ち帰っていた

この機会にと、母親のほかの通帳も確認したところ、母親の手元には一切なく、他の銀行の通帳もすべて妹が持ち帰ってしまっていました。母親には、「振込詐欺対策として私(妹)が預かる」と説明したそうです。

 

この話を聞いた優里さんは非常に驚いたと共に呆れ果て、母親の家にあった印鑑は優里さんが持ち帰るようにしたのです。

妹の暴走が発覚してから、母親も妹に対して怒り心頭で思わず「この泥棒猫が!」と叫んでしまったといいます。この一件があって、優里さんはすっかり妹への信頼をなくしたのでした。

 

妹とは絶縁!円満な話し合いはできそうにない

優里さんは、現在妹とは絶縁状態。母親は、今はまだ一人で生活できていますが、それもあと何年もつかわかりません。


母親が亡くなってからだと、姉妹二人での遺産分割協議は感情的になりそうで、できそうにありません。

 

母親がまだ会話ができるうちに、ある程度分割の取り決めをしたいのですが、どのように進めたら良いか、アドバイスをしてもらいたいというのが優里さんの相談内容でした。



妹が勝手に売却した土地の代金は1,500万円。他預貯金が少なくともあと700万円程度はある見込みですが、母親の預金通帳はすべて妹が持ち帰っており、預貯金の全容が確認できません。


簡易保険1,500万円は郵便局の養老保険で、払い済です。母名義の不動産は、優里さんが自分名義の家を建てている土地と母親が住んでいる実家の土地建物があり、2カ所で3,000万円。確認できた財産の合計は6,700万円です。

 

できることはしておきたい…預金の確認と遺言書

すでに妹と絶縁状態だということであれば、母親には遺言書を作成してもらうことが必要です。


公正証書が望ましいところですから、母親の意思確認が取れるか否かの判断をする必要があります。自分でサインができ、遺言書の内容を話すことができれば遺言書は作ることができます。公証役場に出向けない場合は、自宅まで公証人と証人が出張して作成することができます。



遺言書の作成に当たって、確認しておきたいことは、妹がどれくらいの財産を預かっているかということです。あるいは贈与を受けた額があるかということで、通帳がなければ取引明細を再発行してもらい、入出金を確認しておくようにします。妹が預かっている金額がわかればそれを遺産分割金とするようにします。


また、不動産は妹と共有にするとトラブルのもとになりますので、優里さんが引き受けるようにするのが選択肢だと言えます。


以上の点を母親に用意してもらうことで、大きな不安要素は解消できます。

 

相続実務士より

財産をオープンにしない、隠しているなどが争いを誘発します。できるだけオープンにして、情報を共有することで争いを防ぐようにしたいものです。

 

 

 

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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