2024年のM&A件数85件、前年比44%増
飲食業界のM&A(合併・買収)が急増している。2024年の同業界のM&A件数は85件と23年比で44%増え、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年(101件)以来、5年ぶりの高水準となった。24年のM&Aの85件のうち、支配権の移動を伴うものは69件だった。
コロナ禍後の景気回復に伴い、買い手である同業他社やファンドの業績が回復し、潤沢な買収資金を確保できていることが背景にある。
新型コロナの5類引き下げでM&A件数も回復
飲食業界のM&Aを仲介するM&Aプロパティーズ(東京・新宿)が、全上場企業に義務づけられた適時開示情報などを基に件数を集計した。飲食を伴う店舗型ビジネスを飲食業界と定義し、同業界のM&A件数を計算した。今回の調査は、コロナ禍からの回復状況を正確に把握し、今後の業界動向を予測するための重要な指標として実施された。
M&A件数は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を受けた景気回復を背景に買い手の資金力が増したことから、19年には101件と過去最多に達していた。ところが、20年に新型コロナウイルスの感染が拡大したことから、政府は緊急事態宣言を発令。人と人との接触を通常時から7~8割減らすよう呼びかけた。人が集まって食事や飲酒などを楽しむ店舗型ビジネスの経営は大きな打撃を受け、M&A件数も23年に59件とピーク時から4割減少していた。
その後、政府は2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げ、コロナ禍は収束に向かった。加えて、景気回復やインバウンド(訪日外国人)需要の拡大により、飲食業界の業績も急回復。買い手の資金力が再び高まり、2024年のM&A件数は前年から4割超の増加となった。
日銀の利上げ、「飲食業のM&Aに当面大きな影響ない」
24年の飲食業界のM&Aでは、事業の選択と集中で生産性を向上させる「戦略的売却型」が52%(44件)と前の年の47%(28件)から比率を高め、最も多かった。
今後のM&Aの動きで気になるのは、市場関係者の間で金利の先高観が強まっていることだ。日銀は1月23~24日の金融政策決定会合で政策金利を0.5%に引き上げることを決めた。ただ、M&Aプロパティーズの中村幸司社長は「金利が上がったとはいえ、全般的にはなお低金利が続いており、買い手の投資余力が高まっていることから当面は大きな影響はない」と分析している。
今後も、景気の動向や金融政策の変化がM&A市場に与える影響は注視されるだろう。また、インバウンド需要の拡大や国内消費の回復が続けば、飲食業界のM&Aは引き続き活発に推移する可能性が高い。
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