“西友のプライベートブランド”として誕生した〈無印良品〉「わけあって、安い。」の初代コンセプトを生んだ、主婦のひと言【専門家が解説】

“西友のプライベートブランド”として誕生した〈無印良品〉「わけあって、安い。」の初代コンセプトを生んだ、主婦のひと言【専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

今や日本を代表するブランドの一つとなった無印良品。しかし、その始まりはスーパーのプライベートブランド商品でした。なぜ一般的なプライベートブランドとは異なるコンセプトが生まれたのでしょうか。北海道大学大学院経済学研究院准教授の満薗勇氏の著書『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より、詳しく解説します。

「わけあって、安い。」のワケ

【図表】には、初期の無印良品の代表的商品を挙げてある。無印良品のコンセプトは「わけあって、安い。」というわかりやすいコピーでアピールされたが、代表的商品それぞれのコピーにも「わけ」が付記されていたことがうかがえる。

 

により作成 出所:
【図表】無印良品の開発(1980-83年)(由井常彦編『セゾンの歴史 変革のダイナミズム 下巻』リブロポート、1991年)より作成
出所:満薗勇著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社、2024年)

 

こうしたコンセプトは、堤清二のマージナル産業論からすると、交換価値ではなく使用価値に即した商品の見直しという方向から成果を得たものと言える。堤自身、無印良品には「「反」資本の論理」という発想があったと回想している(御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一編『わが記憶、わが記録―堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』中央公論新社、2005年)。

 

あるいは、デザイン担当の田中一光による無印良品というネーミングの妙もあって、ノーブランドでありながらしだいにブランドとしての認知を獲得していくが、堤自身は「無印は使用価値だけで売れないと困る」と、ブランド化に向かうことを強く警戒していた。

 

本書の関心からすると、以上の経緯で最も注目されるのは、商品科学研究所の存在である。商品科学研究所は、1970年代の生活の質をめぐる問いに、堤清二が深く向き合ったがゆえに生まれたものだったからである。以下、このことの含意を、少し時間を巻き戻しながら確認する。

 

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本連載は、満薗勇氏の編著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

満薗 勇

中央公論新社

応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清…

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