吉野家の牛丼「400円→280円」マクドナルドのハンバーガー「210円→65円」に。2000年代平成デフレ期とは何だったのか…一億総中流から格差社会へ【専門家が解説】

吉野家の牛丼「400円→280円」マクドナルドのハンバーガー「210円→65円」に。2000年代平成デフレ期とは何だったのか…一億総中流から格差社会へ【専門家が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

1990年代、日本の消費は大きな転換点を迎えました。象徴的なのが、外食チェーンの値下げ競争。価格競争が激化する中、企業は「安さ」だけでなく「顧客満足」も追求し始めました。本稿では、デフレが生んだ「顧客第一主義」の背景について、北海道大学大学院経済学研究院准教授の満薗勇氏が、『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より詳しく解説します。

バブル期からポストバブルの時代へ

1980年代後半からバブル景気に沸くなかで、海外旅行者の増加、スキーリゾートの賑わい、高級車ブームなど、人びとは旺盛な消費意欲を示した。しかし、バブルが崩壊して1990年代から長期経済停滞の時代に入ると、一転してそうした明るさは失われた。

 

ポストバブルの時代には、外食チェーンが相次いで値下げを発表し、デフレの象徴とまで呼ばれるようになる。たとえば、𠮷野家の牛丼(並盛り)は、1990年に一杯400円であったが、2001年には280円にまで値下げされ、マクドナルドのハンバーガーも、1985年に210円だったところから、2000年に65円まで値段を下げている。

 

消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。 <<詳しくはコチラ>>
消費革命をもたらした1960年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。
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長期経済停滞のもとで雇用不安が広がり、2008年の年末には「年越し派遣村」が東京・日比谷公園に開設された。米国の投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を契機とする不況、いわゆるリーマン・ショックの影響により、仕事や住む場所を失った非正規労働者を支援する取り組みであった。一億総中流とまで言われた中流意識の広がりは過去のものとなり、日本社会を格差社会と見る認識が広がっていく。

 

この間、少子高齢化が急速に進展し、2000年代には人口の増加が頭打ちとなって、人口減少社会へと転じた。財政面では、社会保障支出の増大につながり、1989年には、安定財源の確保を狙いとして消費税が導入された。

 

税率3%からのスタートであったが、1997年に5%へと引き上げられた。その後も経済の低迷により、財政健全化に向けた取り組みが困難に直面してきた結果、2010年代にさらなる消費税率の引き上げに至っている(2014年に8%、2019年に標準税率10%・軽減税率8%)。

 

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本連載は、満薗勇氏の編著『消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで』(中央公論新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで

満薗 勇

中央公論新社

応援消費やカスハラなど、消費者をめぐるニュースが増えている。本書は、消費革命をもたらした一九六〇年代から、安定成長期やバブル、そして長期経済停滞までを消費者の視点で描く。生産性向上運動、ダイエー・松下戦争、堤清…

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