(写真はイメージです/PIXTA)

NY金先物物価が1月から上昇基調となり、直近で2月5日に過去最高値を更新しました。(2025年2月7日現在)1月にトランプ政権が発足し、安全資産としての金需要がさらに高まったことが原動力になったと考えられます。まだ、上昇の余地はあるのでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏が、今年の金相場の見通しについて詳しく解説します。

日銀金融政策(1月)

(日銀)利上げ(0.25%→0.5%)を決定

日銀は1月23日~24日に開催したMPMにおいて、政策金利の引き上げを決定し、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標をこれまでの0.25%程度から0.5%程度へと変更した(賛成8・反対1)。

 

中村委員は、「次回のMPMにおいて法人企業統計等で企業の稼ぐ力が高まったことを確認したうえで、変更を判断すべきである」として反対票を投じた。

 

また、併せて、貸出増加支援資金供給について、予定通り今年6月末をもって新規貸付けを終了する旨も決定している(年内は、満期到来額の半分を上限として、期間1年の借り換えを認める)。

 

声明文では、足元の経済・物価動向について、「これまで展望レポートで示してきた見通しに概ね沿って推移しており、先行き、見通しが実現していく確度は高まってきている」と前向きに評価。

 

今後の政策運営については、従来同様、「現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、今回の展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との方針が示された。

 

声明文と同時に公表された展望レポートでは、2026年度にかけての物価上昇率が総じて上方修正された。とりわけ、2025年度のコアCPI(除く生鮮食品)は前回10月時点の前年比1.9%から同2.4%へと大幅に引き上げられた。

 

会合後の植田総裁会見では、今回利上げを決定した理由について、

 

1.経済・物価が、これまで示してきた見通しに概ね沿って推移しており、先行き見通しが実現していく確度が高まってきていると判断したこと

 

2.今春闘でしっかりとした賃上げの実施が見込まれると判断したこと

 

3.米国経済がしっかりしており、トランプ大統領就任後も国際金融資本市場が全体として落ち着いていると判断したこと

 

4.円安等に伴って輸入物価が上振れていること

 

を列挙した。

 

総裁は、今回の利上げの影響について、「実質金利は(中略)大幅なマイナスが続く」としたうえで、「緩和的な金融環境が維持され、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていく」との見解を示した。

 

今後の利上げペースについては、「今後の経済・物価・金融情勢次第であって、予断は持っていない」、「今回の利上げの影響はどういうふうに出てくるかということも確かめつつ、今後の進め方を決めていきたい」と発言。政策の自由度を確保するためとみられるが、殆ど手がかりを与えなかった。

 

2025年度の物価上昇率の大幅な上方修正については、コストプッシュ的な原因によるものであるため、「今年の半ばくらいまでの上方修正で、その後は落ち着いてくる」との見通しを示した。

 

そのうえで、「基調的な物価上昇率については、見通しに沿って緩やかに上昇し続けているという範囲にとどまっている」、「深刻なビハインド・ザ・カーブ現象(中略)というふうには今のところみていない」との認識を示した。

 

不透明感の強いトランプ政権の関税政策の影響に関しては、「現状では(中略)具体的にこうなりそうだということを申し上げられる段階ではない」ため、「ある程度固まり次第、私どもの見通しにもなるべくきちんと反映させ、それに応じて政策運営にも生かしていきたい」と述べた。

 

先行きの利上げのペースや幅に大きな影響を与える中立金利に関しては、「これまで日本銀行の分析の例としてお示ししたものは、名目ではたとえば1%から 2.5%くらいの間に分布しているので、0.5%という金利水準はまだ距離がある」と具体的な数字を交えつつ説明した。

 

これに関連して、「政策金利0.75%を壁として意識しているか」との問いに対して、総裁は「ある数字を壁として意識しているということはない」としたうえで、「なにかの壁、あるいは中立金利にものすごい近づいてくる、あるいは若干上回るというようなことになれば、なんらかの反応が経済の方で起こってくる」ため、「出始めくらいの段階でつかみたい」、「そういう手探りの前進を続けたい」との考えを示した。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2025年2月7日に公開したレポートを転載したものです。

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