個々のキャリアは評価の検討材料
とはいえ「実際の働きぶりは入ってみないとわからない」ので、キャリアを給与にどれだけ反映させるか、悩ましいところです。
たとえば看護師は「何年間、どの病院の、どの科に勤めたのか」という点に重きが置かれます。もし50歳の看護師を2名採用する場合、たとえ看護師としての勤務年数が同じだったとしても、それまで在籍してきた病院や科・経験値によってスキルが全く異なります。当然、評価や給与はそれぞれに検討する必要があります。それには指針が必要です。
指針となる3本柱 役割等級制度、評価制度、報酬制度
さまざまな経歴をもつスタッフとの雇用契約内容を決めるのに有効と考えるのが、役割等級制度の導入です。役割等級制度とは、雇用者が職務をどれくらい達成できているかによって振り分けられる等級を、各人に定めることです。契約時に設定することで、給与額をいくらからスタートするかという判断基準にもなります。
開業から数年~10年経つと、さらなる制度の拡充が必要です。昇給や管理職への昇格を検討する際の基準を設ける評価制度や、ある職務・役割に対して、どれくらいの報酬にするかの基準を設ける報酬制度を作ることが効果的です。これらは開業してから経営データや運営ノウハウが蓄積されてから着手することをおすすめします。
最終的に役割等級制度、評価制度、報酬制度の3本柱をもつことで、各制度が有機的に繋がり、最大限に機能すると考えます。(※当法人も、いよいよ来年度から施行されます)
ただし、既存の組織で新しい制度を導入し、当てはめていくのは難しく、それに伴い各スタッフの契約内容を入れ替える作業が生じます。開業時から、数年後に制度を拡充することを念頭に置き、医療や労働に関する法制度にアンテナを張り、組織づくりを勉強しながら徐々に進めていくことが肝要です。
