さては親父の財産を狙ってるな?兼業農家を営む父の財産を牛耳る56歳長男。すっかり人が変わってしまった兄に姉妹が頭を悩ませるワケ【相続の専門家が解説】

さては親父の財産を狙ってるな?兼業農家を営む父の財産を牛耳る56歳長男。すっかり人が変わってしまった兄に姉妹が頭を悩ませるワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

現状の不動産評価と相続税の予想額を算出し、分割案の提案、相続税の納税案、相続になったときの流れとポイントなどをまとめておくことで、相続の不安を解消することができます。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が具体的な事例をまじえて、相続プランをまとめておくことの重要性について解説します。

父親は兼業農家で土地持ち

寿栄子さん(54歳・女性)の父親(85歳)は兼業農家で、アパート経営をしながら、農家も続けています。父親は長男で、祖父から農地などを引き継いで守ってきました。そうした家督相続的な風習が残る地域ですので、父親も長男に継がせるという思いのようです。

 

そうしたことから、当然のごとく長男である兄は家を継ぎ、土地を守るとして育ってきましたので、ずっと実家に住み、結婚してからも同居を続けています。

 

寿栄子さんと妹は結婚を機に実家を離れています。また、母親が5年前に亡くなってしまい、父親が亡くなったときの相続人は兄(56歳)、寿栄子さん、妹の3人です。しかし、「相続人は多いほうが節税になる」という兄の強い要望で、兄の子である甥が父親と養子縁組をしましたので、相続人は4人、基礎控除は5,400万円となりました。

父親の財産は長男が仕切っていて、父親も妹も口出しできず

父親は80代になって賃貸事業や農業などは長男に任せるようになっています。すでに兄は不動産は全部、自分が管理し、自分が相続するものだと思っているようで、寿栄子さんたちにもそうした発言をしてきます。

 

寿栄子さんと妹は兄が家を継いで、不動産を相続することもよしと思うものの、不動産のことなど聞こうものなら、「お前には関係ない!」「財産をあてにしているのか!」など高圧的なことばかり言うのです。兄は父親に対しても強い口調で言ったり、父親の預金も管理するようになり、通帳なども預かって父親の自由にさせず、わずかなお金を渡す程度で、すっかり牛耳っているのです。「前からそのケはあったけれど、ここまでモンスターになるとはね……」と姉妹はため息が出るばかり。

 

なおさら相続になれば、相続税が払えるのか? 自分と妹はどれだけ相続できるのか? 気になることばかりですが、兄に不動産や相続のことは言っても取り合ってくれません。それでもなにかしておきたいと、寿栄子さんと妹の2人で相談に来られたのです。

不動産は固定資産税評価証明書か、名寄帳を入手する

すぐに確認できるものは、不動産です。場所がわかれば登記簿で確認できますが、まとめて確認するには、役所の税務課で、固定資産税評価証明書か名寄帳を入手することで、一度に確認できます。各市区町村ごとの申請になりますが、所在がわかれば取得することができます。申請するのは原則、所有者本人で、本人が出向けない場合は、委任状を持参するようにします。

 

寿栄子さんには事前に取得してもらうようにお伝えしていたので、父親に委任してもらい、取得できたと持参されていました。これで不動産全部の評価をすることができます。

 

相談時間で不動産の一つ一つにつき、グーグルマップで場所を確認していきました。

 

寿栄子さんと妹は結婚して家を離れましたが、それぞれ子どもが学校に入るときのタイミングで家を建てています。父親が「自分の土地を提供するので家を建てたら?」と申し出たことで、ふたりとも実家と同じ市内に住んでいます。父親名義の土地を貸してもらい、建物はそれぞれの夫が建築費のローンを組んで担保提供もしてもらっています。

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