祖母が亡くなった
智子さん(45歳)の祖母(90代)が亡くなり、相続人である母親の代わりに智子さんが相談にいらっしゃいました。
祖父が35年前に亡くなったあと、祖母はひとり暮らしをしてきました。4人の子どもたち、長男(70代)、長女(70代・智子さんの母親)、次女(60代)、次男(60代)は就職や結婚で家を離れて独立しています。
祖母の老後は長女と次女のふたりが協力してサポートをしてきました。おかげで祖母は90代まで長生きしてきたと言えます。
相続人それぞれの希望
長男は祖母の生前に現金の贈与を受けており、今回は放棄するという意向です。
次男は祖母の預金を管理しており、施設の入所の手続きや支払い、病院の入院手続きや支払い、実家の光熱費などの支払いを担当していたことから、祖母の預貯金の残高50万円を相続したいという希望です。
実家は姉2人で相続すればいいのでは? と次男が提案してきました。
誰も実家を欲しがらない理由
実家は45㎡(13.6坪)とコンパクトで相続評価は900万円。平屋で3DKの家が建っています。築年数は40年以上。預金はほとんどありません。
不動産は長男にとか、男性が継ぐものというイメージがあるのに、長男は相続放棄、次男は現金でよいと、ともに不動産はいらないということです。
建て替えができない
母親と妹の叔母のふたりで祖母の家を相続することになり、どのようにすればいいかと智子さんが代わりに相談に来られたのです。土地の地形や権利関係を調べてみると長男、次男がいらないという理由がわかりました。
前面道路が私道で4メートル未満のため、建て替えるには道路のセットバックが必要です。さらに私道に入る途中に階段があり、車が入らないため、解体工事や新築工事も車を止めている場所まで、材料を人力で運ばないといけません。工事代が通常よりも割増になります。
隣地に買ってもらう
建て替えするには面積が狭くなり、工事費も高いため、買い手がつかない可能性があります。それでも共有して持ち続けるメリットはありません。一番良いのは隣地所有者に買ってもらうことだといえるほどの悪条件です。
智子さんは状況がよくわかったので、母親と叔母に話をしてどうするか決めるということで相談は終わりました。
相続実務士のアドバイス
●できる対策⇒不動産は共有せずに売却して分ける。
建て替えよりも隣家に買ってもらうほうが現実的。
●注意ポイント⇒空き家のままにしておくメリットはないため、早めに売却する。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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