70代になってそろそろ自分たちの相続
深澤さんご夫婦はともに70代半ば。親から相続した家に息子と3人で暮らしています。30代後半の息子はまだ独身で、大学も、職場も、家から通えるところを選んで決めてきましたので、実家暮らしを続けているというところだといいます。
3つ上の長女は40代。結婚して共働きを続けているので、通いやすいところにアパートを借りているということです。
両親と同居して相続に備える
今回、深澤さんご夫婦が来られたのは、自分たちの相続をどうしようかということでした。深澤さんのご両親の相続のときにサポートさせていただきましたが、父親が遺言書を作ってくれていました。
深澤さんは長男ですが、仕事の関係があり、結婚当初は、親とは別のところで家を買って家族4人で生活をしていました。しかし、深澤さんの妹2人も嫁いで家を離れて、両親が2人暮らしになってからは、老後のことや相続のことを考えて、家を建て増しして同居するようにしたのです。同居することで父親の相続のときには小規模宅地等の特例が適用でき、相続税はかからなかったのでした。
相続対策をしておきたい
深澤さん夫婦も70代を迎えていよいよ自分たちの対策をしておかないといけないと思い、これからどういう対策をすればいいかと相談に来られたのでした。
財産の評価をしてみると100坪の自宅の土地評価が8,000万円、金融資産等も合わせると1億3,000万円の資産。妻は元の自宅を2分の1所有しており、親から相続した金融資産も合わせると7,000万円。2人で2億円の財産になることがわかりました。相続税は2人合わせると1,400万円程になります。
課題と提案
深澤さんご夫婦の主な課題は次のとおりです。
1.夫婦ともに基礎控除を超える財産があり、相続税がかかる
2.配偶者の税額軽減を使って相続するメリットが少ない
3.2つの不動産に差があり、子どもたちに相続させるバランスが悪い
こうした課題が見えていますので、相続プランを作成して具体的に対策を提案することをお勧めしました。
課題解決のための提案
この課題を解決するための提案は下記のとおりです。
【1】自宅の土地が大きくひとりで相続するにはバランスが悪いため、分けやすくしておく。
1.売却して自宅と賃貸不動産に買い替える
2.土地活用して2棟の建物を建てる
【2】貸家は築年数が経っているため、売却して、築浅の賃貸物件に買い替える。
【3】対策後に分割案を決めて、遺言書も作成する。
