相続対策には「養子縁組」は定番。長男の配偶者、孫、何人とでもできる
淳史さん(34歳・男性)は10年前、同居する祖父と養子縁組をしました。淳史さん家族は祖父母、両親、淳史さん、弟の6人暮らしをしていました。父親には妹が2人いて近くに嫁いでいます。祖父母は長男である淳史さんの父親が家を継ぐ跡取りなので、家は長男が継いで、守ってほしいと言ってきました。
祖父よりも祖母が先に亡くなり、配偶者の特例が使えなくなりましたので、祖父は孫の淳史さんと一緒に相談に来られました。自分の相続のときに子どもがもめないように、相続税の負担も減らしたいと言うのが希望です。
祖父名義の自宅は100坪あり、真ん中に家が建っていますので、子ども3人に分けられず。遺言書で長男に相続させると決めることができても、妹二人から遺留分請求をされる不安が残ります。
それであれば、遺留分を減らすには養子縁組をして相続人を増やす方法があるとアドバイスしました。実子がいる場合は相続税の基礎控除に加算できる養子は1人分ですが、養子縁組は何人とでもできます。
淳史さんの祖父は長男家族と同居していますので、老後の介護を担当するのは長男の妻や2人の孫ですので、3人とも養子縁組ができるとアドバイスをしたところ、3人とも養子縁組をされました。結果、祖父の相続人は長男、長女、次女と長男の妻、孫2人の6人が相続人となりました。
法定割合は3分の1から6分の1となり、遺言書を作成することで遺留分は12分の1に。なにも対策しなかった場合の法定割合3分の1に比べて養子縁組と遺言書を組み合わせることによって遺留分は12分の1となりますので、4分の1にできるとなります。
節税になることはわかっていてもしたくない!妻と孫(自分の子)vs姑
哲也さん(56歳・男性)から父親の相続対策についての相談がありました。父親は長男で20年前、祖母が亡くなったとき、かなりの相続税がかかったため、自宅の土地の一部を売却して納税をしたといいます。その父親は90代になり、持病もあるので、お医者様からはいつ相続になってもおかしくないと言われたと言います。
母親はまだ元気なので父親よりも後だとしても、哲也さんは一人っ子で、相続人は2人で基礎控除は4,200万円しかありません。
哲也さんの父親は祖母が亡くなったときに納税のために売却をしましたが、不動産会社の希望で必要な金額の倍くらいの土地を売却しました。そのため、納税後は現金2億円が残ることになり、そのまま財産として保有しています。
まだ自宅も広いため、合わせると財産は3億円以上になり、相続税は9,000万円ほどに。預金があるので払えますが、それでも節税する方法はあるだろうかと相談に来られました。
土地が広いので一部を活用する方法、土地の一部を売却、資産組替する方法、現金で不動産対策をする方法など、いくつもの方法が考えられますが、いちばん手間がかからない方法として、養子縁組をして相続人を増やすこともできます。