40代で出世に差が
健介さんの同期は12人いますが、半分はすでに辞めています。それはこのまま会社にいても年功序列で出世コースから外れることを見越し、自分のスキルアップを活かして転職したからです。たしかに出世できる人は限られており、出世コースから外れたら自分よりも年下が上司になることも当たり前です。
健介さんの妻も40歳までは働いていたものの、その頃から男性と女性の昇給の差が目立ってくるようになったため、退職までこの会社で働くよりも自分の得意なことを仕事にしたいと、独立したのです。健介さんの妻は語学が堪能だったため、今では翻訳の仕事をしています。在宅でもできる仕事のため、子どもが高校受験や大学受験の時にそばにいれたことは非常に助かったといいます。
昇給できない人の増加
年功序列とはいえ、能力がなければ昇給できません。早ければ40代で管理職になる人もいますが、40代後半でも役職についていない人も多く、所得の差は広がるばかりです。
健介さんは45歳で管理職(課長)になりましたが、その後定年までに部長など上の役職になれる保証はありません。管理職になったと同時に年収も1,000万円を超えましたが、この年収が今後どのように推移するのかは分かりません。
健介さんがとった行動とは
健介さんは子どもも就職したこともあり、社会人大学で学び直すことを決意しました。夜間でも学べる大学は多く、仕事が終わってから通うこともできます。健介さんはデジタル技術を学べる社会人大学に入学し、勉強中です。卒業後はもし会社が自分を必要としている環境であればそのまま在籍してもいいですし、そうでなければ副業も視野に入れています。
もちろん思いどおりに進む保証はありませんが、学んだ知識は何歳になっても活かせます。そのため、定年後に何らかの形で収入を得られる可能性もあるでしょう。
実際、健介さんの先輩も同じように社会人大学で学び直し、会社が必要としている資格を取得したことで給与が増加したと言っています。
定年後の資産形成を考えることはもちろん大切ですが、生涯教育の一つとして勉強を始める方法もあります。確かに就職氷河期世代はいろんな苦労を強いられてきたという気持ちがあるでしょう。氷河期世代の不遇は政治の失策による影響が大きいのも事実です。
とはいえ、現状を少しでも良くするために活用できる制度もあります。厚生労働省では学び直しのための費用を支援する制度を設けており、導入する会社も増えています。もし勤務先にそのような制度があれば、利用して学び直しを考えてみてもいいかもしれません。
※参考:
厚生労働省「図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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