(※写真はイメージです/PIXTA)

物価はどんどん上がっていくのに給与はほとんど上がらない。このような状態が30年以上も続いていたなかで、初任給を引き上げる企業が増えています。30年前に就職した世代は就職氷河期世代とも呼ばれていますが、その実態はどのようなものだったのでしょうか。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、就職氷河期世代の実態とこれから取り組むべきことについて解説します。

就職氷河期時代に就職した健介さん

健介さん(52歳)は同い年の妻と2人で暮らしています。2人いる子どもはどちらも大学を卒業し、次男はこの春入社が決まっており、初任給も去年よりも大幅に引き上げられることを知って喜んでいます。

 

健介さんが大学を卒業したのは、1995年です。大学に入学した1991年はまだバブル経済の名残りがあったものの、就職活動を始める頃は就職難の真っ只中でした。

 

まだ男性は就職できた人が多かったものの、女性はなかなか内定がもらえず、中には内定を取り消された人もいたほどです。

団塊ジュニア世代の追い打ち

健介さんはちょうど団塊ジュニア世代ということもあり、高校入試、さらに大学入試でも高倍率の中を戦っていかなければなりませんでした。やっと大学に入学できたと思ったら、次は就職氷河期か……と肩を落とした友人も少なくありません。

 

縁故で就職できる人もいましたが、健介さんは何社も採用試験を受け、ようやく内定をもらえたのです。

 

中には就職できず、ずっと非正規雇用で働いている友人もいます。そして、非正規雇用の多くが結婚せずに独身のまま現在に至っています。このような非正規雇用の増加により、少子化を招いたことも忘れてはいけません。

就職氷河期世代は結婚しても働き続ける女性が多い

過去、女性は結婚もしくは子どもができたら会社を辞めて専業主婦になるのが当たり前とされていました。しかし、就職氷河期に就職できた女性は「一旦辞めたら次はない!」と考え、結婚後そして出産後も仕事を続ける人が多く見られます。前例ができれば、後輩は後に続きます。もちろん辞める人もいましたが、共働きで子どもを育てる世帯が増えたきっかけになったことは事実です。

 

健介さんの妻も結婚や出産を理由に会社を辞めることはなく、夫婦で協力して子どもを育てました。

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