(※写真はイメージです/PIXTA)

中古アパートオーナーであれば、賃料保証会社がついているから、安心だろうと考えている人も多いでしょう。確かに最近の賃料保証会社の契約であれば、原状回復費用もカバーする内容の保証契約になっているかもしれません。一方で、数年前の保証契約の場合、油断は禁物で……。本記事では、中古アパート経営における保証契約について、不動産と相続を専門に取り扱う、山村暢彦弁護士が解説します。

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大家と保証会社、それぞれの利害関係

実際にあったご相談として、立退訴訟に移行するタイミングの問題などの質問を受けたことがあります。

 

相談内容としては、「賃料を2ヵ月ぐらい滞納していても、思い出したように未払い分を支払ってくれるような入居者がいる。賃料保証会社としては2ヵ月分未払いになったため、機械的に立退訴訟の手続きをとるという連絡が入った」というものでした。

 

相談者は、このように未払いと支払いを繰り返していた入居者であることを理解していたため、大家の立場として、この入居者とそれなりに上手くやってきました。しかし賃料保証会社を入れるとなると当然、賃料保証会社の利害もでてきます。そのため、賃料保証会社との契約内容により、どのタイミングで立退訴訟などが提起されるかも変わってきます。

 

総括すると、比較すれば連帯保証人への請求よりも賃料保証会社のほうが、保証が手厚く助かる場面が多いかと思います。しかし、賃料保証会社は契約により保証内容に制限をかけていることが多いため、大家さんが思っているほど充実した保証を受けられない可能性があるという点は注意すべきでしょう。

 

火災保険の特約などと同じイメージで、どこまでどういう保証が受けられる契約なのか、契約時に読みづらい資料だとしても確認、質問して、理解してから契約を進める必要があるでしょう。

今後増える可能性も…保証会社の破産リスク

本記事は、賃料保証会社の契約にも留意して対応しましょう、という内容ですが、従前の保証人制度よりはだいぶよくなったと思います。また、賃借人側として「なぜ保証会社などを利用せねばならないのだ!?」というクレームもあるようですが、入居時点では大家さんのほうが入居者審査の場面で強い権限をもっています。そのため、今後も賃料保証会社の利用は加速してくように思います。

 

ただ、契約内容を精査するだけではなく、今後出てくる問題として、賃料保証会社も民間企業にすぎないので、賃料保証会社が破産するというような問題も生じてくるのではないかと思います。賃料保証会社としては、審査を甘くして保証料を安くすれば契約はたくさん取れるはずですが、そのような契約の取り方をしていると、トラブルが想定を上回ってきたとき、賃料保証会社が破産してしまうというケースも生じかねません。

 

「賃料保証」という名のもとに、拡大したサブリース会社が破産するような事件が起きたように、賃料保証会社の破産という事件も今後増えてくるかもしれません。その予防のためには、契約内容の審査に加えて、賃料保証会社の資産規模や与信などの審査も考えていかねばならないでしょう。建設会社の破産問題と同様に、不動産賃貸業を行っていくうえでは、取引先の破産に備えるという思考も持ち合わせていかなければならない世の中になってきたといえるでしょう。

 

 

山村 暢彦

山村法律事務所

弁護士

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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