(※写真はイメージです/PIXTA)

一般的な住宅セールスのスタイルは、「セールスの本来の目的」を見落としているといいます。住宅を購入することで顧客がたどり着きたい未来について、一緒に模索する関係性を構築することがセールスにつながるのです。本稿では、「株式会社戸建分譲総研」代表取締役・奥村友裕氏の著書『分譲住宅ブランディング戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、セールスを伸ばすための3つのステップについて、詳しく解説します。

売れないセールスは「買えない顧客」をつくる

セールスの大前提を考えれば、現在の住宅の一般的なセールススタイルは理想的な状態とは言いがたいものがあります。

 

多くのセールスは「とにかく家を売りたい」という、相手への感情よりも事実と結果を優先した考えのもと、顧客にさまざまな物件を見せ、彼らが気に入ったら即座に契約に至ることを期待しています。特に分譲住宅の場合、このパターンが多いのです。

 

しかし、商品(住宅)をやみくもに見せて、気に入ったら買ってもらうという安直なセールススタイルでは、安定した売上は見込めませんし、顧客にとって本当に満足のいく購買体験になっているとはいえません。

 

例えば、化粧品の販売では、美容部員は顧客の好みや肌の状態に合わせて商品を紹介するのが一般的です。ただ単に人気商品や新作商品をポンポンと次々に見せられても、顧客は「本当に自分に合っているのだろうか」「興味が持てないな」と関心を抱きにくく、購入意欲も湧きません。顧客も「この人は本当に私のことを考えてくれているのだろうか」と疑心暗鬼になり、その販売員に対して信頼感を持てないはずです。

 

これは住宅においても同様です。矢継ぎ早にたくさんの住宅を見せられても、情報が増えていくばかりでいつまでも契約につながりません。むやみに住宅を見せて設備や性能などの情報を増やしたり、予算オーバーの物件を見せたりすると、顧客の目が肥えてしまい、いつまで経っても決めきれない顧客になってしまいます。セールスが住宅を見せすぎることで、「買えない顧客」を作り出してしまうのです。

 

これは売れないセールスの典型的な例といえます。このように売れないセールス、さらには住宅を矢継ぎ早に紹介する方法が「買えない顧客」を生み出すことに気づいていない企業が多く存在しています。

 

自社のセールスが売れないセールスをしていることに気づかず、「とにかく頑張れ」と背中を押して、セールスのための行動量を増やすように仕向けても、住宅が売れるようにはなりません。そして行動量を増やした分、顧客にさらに住宅情報を見せ、ますます買えない顧客を増やしてしまう。これでは完全に悪循環です。ただただ売れないセールスと、買えない顧客が増えていくだけなのです。

次ページ口下手でも売れる3つのステップ

※本連載は、奥村友裕氏による書籍『分譲住宅ブランディング戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

分譲住宅ブランディング戦略

分譲住宅ブランディング戦略

奥村 友裕

幻冬舎メディアコンサルティング

デザイン力・営業力・マーケティング力を身に付け 大手メーカーに負けない独自ブランドを確立する! 我が国の新設住宅着工戸数は、1991年度の167万戸をピークに下降の一途をたどり、2022年度には86万戸に減少し、2040年度…

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