顧客がたどり着きたい未来へと導くのが本来のセールス
経営者にとって、自社のセールスの課題を解決することは重大なテーマです。そのためにはまず、セールスとは本来、何を目的におこなうものなのかを考える必要があります。
私は、顧客がたどり着きたい未来(顕在的にも潜在的にも)へと導くものであるととらえています。
私のキャリアは、住宅のセールスではなく、経営コンサルティング業から始まりました。一見セールスと関係していないようですが、実は大いに関係しているのです。
経営のコンサルティングをおこなう場合、対象の顧客の多くは企業の「経営者」です。経営者が自社や自身のたどり着きたい場所に進めるような道筋を示しながら、そのために取り組むべき内容を提案するのです。同じようにセールスも、顧客の未来のありたい姿について、セールスと顧客が合意を取りながら、その未来への期待を増幅させることにほかなりません。
例えば自動車は、それを手に入れることで移動手段が増え、利便性が向上するメリットだけでなく、かっこいい車を所有することへの喜びも得ることができます。さらに、車を購入するという行動には、今よりも未来を良くしたいという期待が込められています。
その感情をより大きく抱いてもらうためには、セールスは、今よりも顧客の生活が豊かになるという前提で提案していく必要があります。良いセールスであるためには、顧客がよりよい未来を手にすることを約束する覚悟が求められるのです。
一方で、人は何かを決断するときに失敗を避けたいという心理が働きます。何かを購入することで失うものがあるのではないか、失敗するのではないかという不安を抱えているのです。特に高額な買い物をする場合は、「こんなに大きな金額を投資するのだから絶対に失敗したくない」という損失回避バイアスが強く働きます。
住宅は特に一生に一度の買い物になる顧客が多く、最初で最後の購入になることが少なくありません。どのような顧客も、住宅を買うことで叶えたい未来があり、そして失敗は避けたいという思いを抱いています。
このような心理を持つ顧客に寄り添うためには、住宅購入を目標として、そこまでの道筋をどのように示せばよいかをセールスが考えることが重要です。理想のマイホームを手に入れるためには、どのような行動をすればよいかを顧客とともにコンサルテーションしていくイメージです。