とある経営者からの“切実な相談”
15年ほど前、売上高70億円規模の製造業A社を経営するX氏から、「この10年で経営者人材を10人育成したいので、力を貸してほしい」との相談があった。
X氏は、その理由として、次の2点を挙げた。
1.個人経営から組織経営への転換
X氏は「今後、自社や業界を取り巻く経営環境がさらに厳しくなることが予想され、経営者だけでなく、それを支える経営者人材を育成・強化しなければ、経営を未来に繋ぐことはできない」と考えた。
2.「経営者人材」が育っていないと、決断が遅くなる
さらにX氏は「今後、M&Aが活発になったときに会社の経営を任せられる人材(経営幹部)がいなければ、会社を買う・買わないという決断が遅くなる」と考えていた。
約15年前の話だが、この経営者は時代を的確に読んでいたといえる。
弊社では、企業が「1・3・5の成長の壁※」を乗り越えるためには、「売上高10億円につき、経営のわかる幹部が1名は必要である」と提唱している。
※ 企業の成長段階には壁があり、年商1億・3億・5億・10億・30億・50億・100億・300億と、節目ごとに経営体質を転換できなければ成長は頭打ちとなり、やがて成長は止まってしまうという考え方。
X氏は長年ワンマン経営で業績を伸ばしており、真に「幹部」と呼べる人材は少なかった。終始トップからの指示を待ち、“考えることをやめた集団”にも映っているという。
X氏と将来のビジョンについてディスカッションしたところ、社長としてのビジョンや経営方針・人に対する考え方は非常にいいものである一方、やはりそれを実現するための人材が揃っていない、育成できていないことが大きな問題点であるとの共通認識を持った。
そして、「10人の経営者人材を育てる」ことを目標に、より実践的な階層別研修を計画した。
