「階層別研修」の結果、収益性が上がり “筋の通った”企業に
階層別研修とは、社員を「管理者」や「監督者」、「リーダー」、「若手リーダー」、「中堅社員」など階層別に分け、それぞれ内容の異なる研修を行うことをいう。
まずは、リーダー候補10人(いずれも30代)を選抜し、定期的に管理・監督者研修を実施した。
さらに、社内公募でやる気のある若手社員を選抜した「若手リーダー」クラスには、A社の中期経営計画を策定させ、年度の経営方針に落とし込んでもらった。さらに、PDCAを回しながら実践させることを通じて、理想の経営者人材・幹部人材への成長を促した。
経営とは? 戦略とは? 管理とは? マネジメントとは? 部下育成とは?
……階層別研修によってこうした「経営者マインド」を学んだことで、A社はそれまでの「部分最適」(特定の部署内だけが効率的に業務を進められる状態)から「全体最適」(組織全体が生産性の高い業務を行える状態)へと働き方が変わり、各部署の経営的な視座も高まった。
また、研修では自社の貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー、管理会計、業績先行管理といった実務的な収益構造の基本も学んでもらった。これにより、それぞれが自発的に利益を生み出す行動がとれるようになった。
弊社では「教え・育てる」ことよりも、「自発的に学ぶことの重要性を理解させる」ことを重視する。そのため、こうした自発性を引き出す、気づきと学びを与える社内教育も階層別研修と同時並行で実施した。
その結果、A社は目覚ましい成長を遂げた。経営者人材・幹部人材だけでなく若手人材もしっかりと育っており、収益性も非常に高い企業となっている。「このまま行けば自社はどうなるか?」と先を見通し、「ではどうするか?」と対策を打った結果である。
A社の成功のカギは、幹部だけでなく、部下や若手社員にも目的を理解させ、浸透させたことにある。現場で働く社員と共通認識を持つ重要性を真に理解している会社はまだまだ少ないと感じているが、こうすることで経営計画の推進力は格段に違ってくる。
