43歳・地方銀行員の漠然とした悩み
奈緒さん(仮名・43歳)は、地方銀行の銀行事務として、窓口業務を担当している。職場では顧客対応に追われ忙しい日々を送る一方、特に目立った業績があるわけでもなく、周囲からはどちらかといえば堅実で控えめな性格とみられていた。
年収は約400万円で実家暮らしのため、生活に不自由はない。しかし、40代に突入し、周囲は昇進や子育てなどで環境が変わっていくなか、自分だけが変わらぬ生活を送っている状況に焦る奈緒さん。
「このままでいいのかな……」
と漠然とした不安を抱えていた。
そんな彼女の趣味は、料理をつくること。特に、祖母から教わった伝統的な郷土料理を作ることが好きで、時折家族に振る舞ったり、友人におすそ分けしたりして楽しんでいた。
奈緒さんの転機となった、親戚の「ひと言」
そんなある日のこと。年末年始の集まりで親戚に料理を振る舞ったところ、そのうちのひとり、健介さん(仮名・30歳)が声をあげた。
「なにこれ! うま! 誰が作ったの!?」健介さんは都内に住んでおり、仕事が忙しくなかなか年末年始の集まりに顔を出せずにいたのだ。
「おいしいでしょう。こっちの地方の郷土料理なんだけど、おばあちゃんの味を受け継いで、いまは奈緒さんが作ってくれているのよ」
横にいた叔母がそう言うと、
「いやあ、俺出身こっちのはずなのに、こんなうまい料理初めて食った。この味を知らずに生きてきたなんて、損してたなあ」
と感動した様子であった。
すると、他の親戚も
「たしかにねえ。おばあちゃんがいた頃から毎年食べてたから気づかなかったけれど、よその地方にはない味かもしれないわね。私も作れたらいいんだけど……ねえ奈緒さん、今度私にも作り方を教えてちょうだいよ」
と、こぞって奈緒さんの腕前を絶賛した。
「ただの趣味が、こんなに人を喜ばせるなんて……」
この日をきっかけに、奈緒さんの気持ちに変化が生まれた。健介さんの感動した表情が忘れられず、料理教室に興味を持った奈緒さんは、まず似たようなサービスについてネットで検索をかけてみた。すると、「伝統料理」に特化したサービスはあまり見当たらないようだ。
「祖母から教わったレシピは、ただの家庭の味ではなく、地域文化そのものなのではないか。私がこのレシピを多くの人に教えることで、文化の伝承にもつながるかもしれない……」
親戚のひと言が引き金となり、地域の伝統料理を次世代につなぎたいという意識が芽生えた奈緒さんは、副業として「郷土料理」に特化した料理教室を開くことにした。
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