“忙しい現代社会”に隠されたビジネスチャンス
現代社会では「タイパ(※)」という言葉が生まれるなど、効率化や時短に対するニーズが高まっている。
※タイパ……タイムパフォーマンス(時間対効果)の略。費やした時間に対する満足度を表す。
この流れはビジネスの世界だけにとどまらず、共働き世帯が増加する昨今、家庭生活においても「効率よく家事をこなしたい」「忙しいなかでも自分の時間を確保したい」といったニーズが高まっている状況だ。
そのような背景から、近年では単に「手を動かして代行する」だけではなく、「方法(ノウハウ)を提供して他者の生活にプラスの影響を与える」ような、知識やスキルを“提供”するビジネスが注目されている。こういったビジネスは、「自分では当たり前」だと思っている習慣・工夫を商品化できるため、ある意味“誰にでもチャンスがある”といえるだろう。
そこで今回、中小企業で一般事務として働く女性が新たなビジネスを築き上げた成功例を紹介する。
ルーチンワークを淡々とこなす日々
一児の母である山本麻衣さん(仮名・39歳)は、中小企業の一般事務として働いている。経理処理や備品管理、来客対応など、日々の仕事はほぼルーチンワークで、年収は350万円ほど。
麻衣さんは「仕事は生活費を稼ぐ手段」と割り切り、仕事に対してのやりがいは特に求めていなかったが、ある日友人とカフェで話していると「いまの年齢と仕事でこれ以上収入を増やすことができるのか」という話になった。
現状に大きな不満はないが、麻衣さんはもうすぐ40歳になる。子供が大きくなり、教育費がかさむようになる一方で、いまと同じような暮らしができるのか、どこか漠然とした焦りを感じた。
“習慣”がビジネスに?…きっかけは同僚の一言
昼休み、いつものようにデスクで自分が作った弁当を広げていると、麻衣さんは同僚から声をかけられた。
同僚「すごっ……麻衣のお弁当って、いつも手が込んでいるよねぇ。私には無理だ」
麻衣さんは同僚の言葉に困惑した。というのも、麻衣さんとしては“お弁当は手を抜いて作るもの”という認識であったからだ。それを同僚に伝えたところ「麻衣って仕事も手を抜かないし家事も育児もきちんとやっているみたいだし、どうやって両立しているの?」との返答が。
麻衣さん自身、特に工夫しているつもりはなかったためうまく返すことができなかったが、その質問が妙に頭に残った。
それからというもの、同僚や友人たちとの会話で「家事が効率よくできたらもっと自分の時間が増えるのに」といった言葉が耳につくようになった麻衣さんは、自分が普段無意識にルーチンとして行っている「家事」について、客観的に振り返ってみることにした。
週末にまとめて食材を下ごしらえして冷凍保存し、平日の負担を減らしたり、歯を磨きながら洗面台を拭いて、汚れを溜めないようにしたり……意識してみるとたしかに普段から小さな工夫を積み重ね、家事を効率よくこなしている。
「もしかしたら、これって私の“スキル”なのかも……このスキルが誰かの役に立つかもしれない!」こう考えた麻衣さんは、自身の家事スキルを副業にしてみようと思い立った。
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