第2次トランプ政権誕生…今週の米ドル/円は〈152.5~157.5円〉と、「トランプ・リスク」警戒の“修正”進む【国際金融アナリストが解説】

1月21日~1月27日の「FX投資戦略」ポイント

第2次トランプ政権誕生…今週の米ドル/円は〈152.5~157.5円〉と、「トランプ・リスク」警戒の“修正”進む【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

ここ1ヵ月ほど156円~158円を中心に方向感の定まらない展開が続いていた米ドル/円ですが、先週は一転、米金利の低下を受けて一時155円割れまで反落しました。20日に第2次トランプ政権が誕生し、23~24日は日銀金融政策決定会合が予定されていますが、これらを受けて今週の米ドル/円はどのように展開するのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

米金利低下の原因は、「トランプ・リスク」警戒の“修正”か

そう考えると、先週の大幅な米金利低下も、本質はトランプ・リスクを織り込んで長期金利が上昇してきたことの反動といえそうです。

 

20日に正式に米大統領に就任するトランプ氏の経済政策は、輸入関税引き上げなどで金利上昇をもたらすリスクがあります。こうしたトランプ関税リスクを試す具体的な取引としては、債券売り・または高関税を名指しされたカナダの通貨売りなどが挙げられます。

 

加ドルの売り越しは、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションを見ると、すでに過去最高規模に達しています(図表5参照)が、筆者はこれについて“行き過ぎ”の領域に入っている可能性があると考えます。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の加ドル・ポジション(2010年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

トランプ氏が正式に大統領に就任すれば、関税政策の中身についてもより具体化されるでしょう。先述したように、トランプ関税リスクを織り込んだ取引による“行き過ぎ”懸念が強まっているのであれば、このタイミングで行き過ぎ懸念の修正(債券売りや加ドル売りの修正)が入りやすくなっていると考えられます。

 

先週、米金利が大幅に低下したのも、この“修正”により債券売りの反動があったことがきっかけとなった可能性があります。

今週の注目点…「ドル安・円高」は続くのか?

米ドル/円は、過去1ヵ月近く156~158円中心の方向感の定まらない展開が続きましたが、先週後半からこのレンジを一時下方向に抜ける動きとなりました。

 

では、米ドル反発の動きは158円で終了し、今週は150円を目指し米ドル安・円高に向かうところとなるのでしょうか。

 

これまでみてきたように、この間の米ドル/円は日米10年債利回り差との相関性が高い状況が続いています。今後もこの関係が続くのであれば、一段の米ドル安・円高に向かうためには、金利差米ドル優位・円劣位が一段と縮小に向かうことが必要です。

 

今週は、20日にトランプ氏の大統領就任式、そして24日に日銀の金融政策決定会合が予定されています。今後一段の米ドル安・円高に向かうか、それとも米ドル高・円安が再燃するかどうかは、こうした日米の状況を受けて米金利が低下し、それにともなって日米金利差米ドル優位・円劣位縮小が続くかどうかがカギとなるでしょう。

 

筆者は、トランプ関税リスクを試してきた取引の修正が一段と広がる可能性が高いと考えます。つまり、米金利低下、米ドル売りの展開を予想します。

 

したがって、今週の米ドル/円の予想レンジは、152.5~157.5円とします。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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