「トランプ関税」がカギ…今週の米ドル/円は〈155~160円〉と、高値圏で神経質な展開か【国際金融アナリストが解説】

1月14日~1月20日の「FX投資戦略」ポイント

「トランプ関税」がカギ…今週の米ドル/円は〈155~160円〉と、高値圏で神経質な展開か【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は高値更新が続いたものの、何度か反落する場面もみられました。こうしたなか、今週米ドル/円の上昇が続くかどうかは、「トランプ関税」がカギになると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と、今週の米ドル/円の市場展開見込みについて、本記事で詳しくみていきましょう。

1月14日~1月20日の「FX投資戦略」ポイント

<ポイント>

・先週の米ドル/円は高値更新が続いたが、「トランプ関税」をめぐる報道や米国株急落をきっかけに何度か反落する場面もみられた。

・米ドル/円上昇が続くかは、引き続き「米金利上昇」が続くかがカギ。株安が拡大した場合、それに追随して米ドル/円が下落に転じる可能性も浮上してきた。

・今週の米ドル/円は高値圏で神経質な展開か。ただ、米金利や米国株の動向しだいでは反落するリスクもありそう。予想レンジは155~160円。

先週の米ドル/円…高値更新続くも、2度反落の場面も

先週の米ドル/円は高値更新が続き、10日に発表された注目の米12月雇用統計が予想より強い結果になると、一時159円近くまで一段高となりました(図表1参照)。

 

ただし、何度か反落する場面もありました。1度目は6日、米ワシントン・ポスト紙の「トランプ関税」を巡る報道がきっかけでの反落。2度目は10日、雇用統計の結果を受けて米利下げ見通しが後退し、米金利上昇となったことが嫌気されたとした米国株の急落がきっかけです。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2024年11月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

「トランプ関税」の影響大…加ドルは“バブル”レベルの記録的拡大に

米紙ワシントン・ポストは6日、トランプ次期米大統領の選挙公約の1つである「トランプ関税」(諸外国からの輸入品に一律関税を課すこと)について、「重要な分野のみ」に限定することを検討していると報じました。

 

この報道をきっかけに、6日の米ドル/円は158円手前から156円割れ近くまで比較的大きく下落。このように過敏な反応となった背景には、トランプ関税の影響を見込んだ取引が急拡大し、“行き過ぎ”懸念が出てきたことがあげられます。

 

たとえば、ヘッジファンド取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の加ドル・ポジションは、最近にかけて売り越しが18万枚程度と記録的拡大となっています(図表2参照)。

 

トランプ氏は、2024年11月に大統領選挙で勝利するとすぐに、「カナダとメキシコに25%の関税を課す」と発言しました。この発言が、記録的な加ドル売りの最大の拠りどころとなった可能性があります。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]CFTC統計の投機筋の加ドル・ポジション(2010年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

この「記録的な売り越し」は、別の見方をすると極端な“売られすぎ”の可能性を感じさせるものでもあります。

 

極端な“行き過ぎ”の状況は、「バブル」と言い換えてもいいでしょう。先述の報道などを受けて「関税の影響は懸念されたほどにならない」可能性が出てくると、このトランプ関税の影響を懸念した「加ドル売りバブル」は反動を受けやすくなると考えられます。

 

この場合の「バブル」の反動、行き過ぎの修正とは、基本的には米ドル売り・米金利低下となるでしょう。

 

今後、トランプ政権の正式なスタートに伴い、関税の具体的な中身が明らかになっていくなかで、米金利上昇や加ドル売り・米ドル買いなどがさらに続くのか、それともすでに目一杯影響を織り込んだことから、逆にその反動で「バブル破裂」のようになるのか……今後、大いに注目したいところです。

 

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次ページ引き続き「米金利上昇」と「株安」の関係に注目

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