家賃が少額なら、取立ての費用対効果が見合わない・・・
失敗事例4 問題化していない家賃滞納・不良入居者
中古物件のオーナーチェンジで、毎月決められた家賃の支払日より少しずつ遅れて振り込みをする入居者がいます。遅れても1カ月程度なのですが、支払いにルーズな入居者が複数人います。
また、騒音のクレームやゴミの出し方など、全体的にマナーが悪いように感じます。失敗とは言えないかもしれませんが、近隣からクレームも入っているようで、なんとか解決したいです。
毎月、月末までに支払う約束になっている家賃を、翌月になってから支払う入居者がいます。1カ月にも満たない遅れですが、家賃遅延の理由は、給料の支給日と家賃の支払いサイクルが合っていないことです。それならば1カ月早く支払えばいいのに、毎月少しずつ遅れて支払うケースも多くあります。
また振り込みが面倒だからと、2〜3カ月分家賃をまとめて支払う入居者もいます。これも早めに賃料をいただいているときもあれば、気づくと前払い分の家賃が終わっていて、知らないうちに滞納していることもあります。
多少遅れていても家賃が入っているということで、問題視しないオーナーもいますが、「契約に決められた日までに家賃を支払う」ということをしていないのは事実です。そこまで厳しくしなくてもよいかもしれませんが、できればルールに沿って支払ってもらうのがベターです。
状況によっては不定期の支払いから、家賃滞納があることに気がつかない……というケースもあります。家賃滞納が起こった場合にどうすればいいのでしょうか。
一般のオーナーさんが、いきなりそのようなトラブルに巻き込まれたケースでは、手数料を支払って弁護士さんに書面を作成してもらうことが多いです。
とはいえ、いくら弁護士さんでも、ある程度の既成事実がなければ訴えられません。おおよそ3〜6カ月の家賃滞納で訴訟手続きに入ります。また、もしも家賃価格が3万円といったアパートであれば、そこで争っても費用対効果が悪いです。
少額訴訟(※)は60万円以下が対象となりますが、それがもし家賃3万円の部屋の半年の滞納であれば、四苦八苦して手続きを行うよりも、泣き寝入りしてしまったほうが良いといわれることもあります。
家賃滞納する人は全員が全員そうとは言えませんが、モラルに欠けた人も多く、こちらが疲弊するばかりであまりいいことがないからです。一方的に被害にあうばかりではありますが、損害を取り戻すよりは、一刻も早く退去してもらい、優良な入居者に入ってもらったほうがいいという話になります。
それゆえに滞納されるよりも、まだ空室のほうが良いのです。滞納されたうえに居座られたり、荷物を残される、虫がわくようなゴミ部屋にでもされたら、それを解決するだけでも大変です。問題入居者に居座られるくらいであれば、いっそ空室のほうが対処のしようがあります。
相手の事情を聞くことで、問題解決できることも
入居条件など柔軟に対応する投資家に比べて、地主大家さんは融通が利かないことも多いです。中には、昔ながらの大家さん然として、入居者を上から見下ろす態度を取るような方もいらっしゃいますが、それは大家さんの立場が強かった昔を忘れられないからではなく、これまでの経験値で、「あまり入居者に甘い顔すると損をする!」と思い込んでいる節もあります。不自然に感じる入居希望者に高飛車な態度で接することにより、不良入居者をシャットアウトしている背景があります。
たしかに、すべてにおいて温厚な態度で接していてはいけない場合もあります。特に不良入居者に対しては初動が重要で、厳しい態度でしっかりと接しないとなめられてしまいます。
また、相手に事情を聞くことで解決すること、トラブルを未然に防ぐことができます。体調を崩して家賃が支払えないのであれば、親御さんに相談するようアドバイスする、場合によっては行政に相談して、なんらかの補助を受けることができるかもしれません。
家賃の価格帯が合わなくなれば、管理会社に相談して、より安い家賃の部屋を提案することもできるでしょう。
※少額訴訟
少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求める訴えについて、簡易裁判所で原則として1回の審理を終えて、即日判決を言い渡す民事訴訟。例えば入居者が月額6万円の家賃を6カ月分滞納している場合、不動産オーナーは36万円の滞納家賃を請求する少額訴訟の訴えを起こすことができる。