前回は、1カ月未満の家賃滞納を繰り返す入居者への対処法について説明しました。今回は、家賃滞納トラブルを防ぐための入居者「審査」のポイントについて見ていきます。

保証会社ごとに異なる「審査基準」と「強み」

リーマンショック以前は審査基準の甘すぎる保証会社もありました。案の定リーマンショックで会社が倒産してしまいました。倒産後は結局、無保証になった人たちが部屋に残り、滞納が発生して大変だったそうです。最近はそういう業者も少なくなりました。

 

筆者の会社でも、管理業務を請け負っていますが、常に新規の保証会社を開拓しながら、既存の業者ともうまく関係性を保っています。

 

中には保証会社の審査が緩いと感じる会社もありますが、大手の保証会社しか取引しない業者もあります。その会社の審査で落とされてしまう属性の人が、その物件のメインターゲット層で申し込みは入るにもかかわらず、審査が通らないという理由で、空室ロスが発生してしまいます。

 

最近は保証会社が増えています。基準が厳しい大手の会社もあれば、非正規社員でも審査が通る保証会社もあります。

 

保証会社の審査のやり方もさまざまです。一般的に信用情報は、カード系、銀行系、信販系の3種類がありますが、基本的に部屋を借りるときはカードだけクリアしていれば問題ありません。

 

このように単純にカード事故がないかで見るところもあれば、人によって年齢と職業で、「安定している、安定してない」と判断するところもあります。

 

ほかには、滞納入居者を退去させるのが得意という会社もあります。最近は、消費者金融がどんどん縮小して銀行に吸収合併にされているので、今まで消費者金融で頑張ってきた督促部隊の人たちが、保証会社に引き抜かれているのです。ある会社では「うちは督促部隊をすごく強化していますよ」と豪語していました。どんな小さな案件でも対応するとのことで、「この会社は結構いいかもしれない」と思いました。

 

最近は、外国人専門の保証会社も出てきました。多言語を喋れるスタッフを用意しています。外国人は、最後は母国に帰ってしまうのがリスクなのですが、その国まで滞納家賃を取りに行くそうです。海外拠点もあるので、取りっぱぐれをなくす体制を敷いているそうです。

入居者の性質は「契約書の書き方」からも読み取れる

さまざまな審査に合わせて、その人の保証を取ることになりますが、やはり実際に管理するのは管理会社なので、筆者の会社では管理会社独自の審査を入れるようにしています。

 

審査のやり方にはいろいろありますが、本来は3段階で審査を行うべきです。保証会社の審査、不動産会社の審査、オーナーの審査です。

 

オーナーの審査とは、字が綺麗かどうか、契約書の保証人のところは筆跡が違うか確かめるとか、そういうところがきちんとしているかです。例えば、住所で「15丁目」と書いてあったら桁がちょっとおかしいのではないか、いい加減なことを書く人じゃないかと推定し、管理会社に対し住所が正しいかどうかの確認の依頼をします。

 

本人は嘘をついたり、騙すつもりはなく、性分としてルーズな人だったりしますが、やはりモラルが低い人である可能性が高いです。

 

あとは転居の理由に整合性があるかも確認します。例えば小売業に勤めている人が、AショッピングモールからB駅ビルに転勤のため引っ越してきたのであれば、転居の理由に整合性があります。理由がきちんとしている人は年収が高くなくても、きちんとした人が多いです。

本連載は、2016年10月11日刊行の書籍『失敗例から学ぶ儲かる不動産投資の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

平山 智浩・渡辺 章好

幻冬舎メディアコンサルティング

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資において、事前にそのリアルな失敗パターンを知ることが不可欠です。多くの個人投資家にコンサルティングを行い、それぞれに合った不動産投資の方法…

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