前回は、賃貸物件の購入前に「よい管理会社」を見つけておくべき理由について説明しました。今回は、「家賃保障・一括借り上げ」のサブリース物件にまつわる失敗事例を見ていきます。

オーナーが空室や滞納の問題発生に気づきにくい!?

失敗事例3 家賃保証・一括借り上げ物件での失敗

東日本大震災のとき、新築で建てたアパートが津波の被害にあい、人が住める状態ではなくなりました。そもそも家賃保証契約がついているからこそ、安心して新築した経緯があります。ところがサブリース会社は「大規模修繕をしろ」「契約を解約してくれたら鍵を渡してやる」という態度です。あくまでその会社主導で高額な修繕をしなくてはならず、自分の意思で直すこともできません。最終的に話が折り合わず無理矢理サブリースを解約させられました。新築する前は「30年一括借り上げで安心」を謳っていたのにもかかわらず、困ったときに役に立たず不満に思います。

 

オーナーから物件を賃借した事業者が、入居者に転貸する形で仲介・管理業務を行うのがサブリースです。サブリース契約をしていれば、空室であっても家賃が入るため、その安心感で人気を集めていますが問題も起こっています。

 

都内の話でいうと、新築物件に多いですが、高めの賃料で「サブリース付きですよ」という提案をお客さんにします。

 

その提案に魅力を感じてオーナーは物件を購入しますが、内情はどうなっているかというと、業者はサブリースで借りていても、2年おきか5年おきに契約内容に基づいて賃料を下げられるように条文に盛り込んでいます。

 

最初に高めの賃料を提示するのは新築で客付けが何とかなるからです。「高めの賃料から相場に下げるのは、うちの自由だ」というのが彼らの主張です。最初のサブリースの提案を信じて買ってしまうと、あとから賃料を下げられる、しかも賃料の下落が激しいケースが実際にあります。

 

サブリース会社の中には、空室を埋めるためには強引な客付けをするところも多いので、質の悪い入居者を入れられるケースも多いです。その結果、家賃滞納が起こったり不良入居者のトラブルが発生する可能性が高くなります。

 

サブリースのリスクの面でいうと、物件を売りたいときになって初めて家賃滞納があることにオーナーが気づくケースがあります。

 

一括借り上げであれば空室であっても、家賃滞納があったとしても、月々の家賃は振り込まれます。また、転貸を認めたうえで、借り上げ契約してるわけですから、各入居者の個人情報を開示する必要もないわけです。ルールを守っていればそれ以上のことはしなくていいのです。

 

とはいえ、売却による解約という話が進めば、開示してくれるでしょう。開示されたタイミングや、契約後に滞納があることが発覚したりします。そうすると、明け渡し訴訟をする必要があり、これまで満室物件だと意識していたものが、問題のある瑕疵物件に近くなります。レアケースとはいえ、借り上げではありがちな話です。

 

その結果、次に買う人にとっては、デメリットとなります。もしかしたら契約を破棄されるかもしれません。あるいは、資産価値を下げられることもあります。

 

私たちも実際経験したときは売主側ではなく買主側の業者でしたが、サブリースで滞納保証されていた物件で、購入時になって滞納が発生していることを知れば、やはり警戒します。

契約時には必ず「どうすれば解約できるのか」を確認

最初は高めのサブリース家賃がついて順調に回っていた新築物件が、見直しで家賃がどんどん下がって収支が合わなくなるケースもあります。

 

地方物件のサブリースでは、賃料が下落したり、空室が多くなると、「大規模修繕しないと借り上げしない」と迫られ、断ればサブリースを解約させられます。

 

あるオーナーさんはサブリース会社から「賃料を下げないとサブリースを続けません」と言われたので、解約を申し出たとところ、入居者を全員退出させられて、全空の状態で物件を返されました。サブリースをあてにしているオーナーさんからしてみれば、困った問題です。

 

逆にサブリース契約を解除するために訴訟にまで発展したケースがあります。解約は通常3カ月前予告の場合が多いですが、新築マンションでサブリースをやっているような会社では、簡単には外すことのできない契約内容になっている場合があります。

 

というのも、いざ売却となれば、買う人側からすると「こちらで自由に管理会社を選ばせてくれ」となるのが当然です。売主も賃貸管理会社に「もう売却するから、サブリースを外そうと思います」と伝えるのですが、応じてもらえません。「ペナルティがあってもかまわない、契約に則ってやるから」と話をしても、「いや解約しない」で話が進まず、最終的に裁判となりました。判決は業者の主張が認められて、売主は負けてしまいました。

 

今までは、営業マンとのパワーバランスで「解約できる、解約できない」といった交渉をやっていた業者も、こうした判例が出てくるとそれを盾に、解約に応じなくなります。そうなると、売主さんは泣き寝入りをするしかありません。

 

その結果、物件の流動性を失ってしまうリスクがあります。買主や、買取業者からすると「欲しいけど、管理が変更できないので買わない」ということになります。買う側が管理解約を条件にするのは当然です。

 

サブリースにしろ、一般賃貸管理にしろ、どんな管理会社とどんな契約を結ぶことになるのか必ずチェックすべきです。管理を任せるときから、解約の話をするのも変な感じがしますが、そこはやはり契約事なので、どうすれば解約できるのか、きちんと内容を確認しないといけません。裁判をしても勝てないような契約内容になっていたら、物件を売りたいときに思うように売れないことが起きてしまいます。

本連載は、2016年10月11日刊行の書籍『失敗例から学ぶ儲かる不動産投資の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

平山 智浩・渡辺 章好

幻冬舎メディアコンサルティング

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資において、事前にそのリアルな失敗パターンを知ることが不可欠です。多くの個人投資家にコンサルティングを行い、それぞれに合った不動産投資の方法…

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