空室を埋める手法として有効な「ペット可」仕様だが・・・
失敗事例7 ペット可物件の原状回復トラブル
所有する物件が築20年を超えたこともあり、ペット可物件にすることにしました。幸い、すぐに入居が付いたのですが、1年ほど住んで退去したときに、部屋がボロボロでした。猫を飼っていたようですが、柱や建具で爪をといで傷だらけになっており、畳の部屋やふすまにおしっこがかけられているようです。とても普通の原状回復では直る状態ではありません。見積もりを取ったところ、通常、原状回復でかかっても20万円のところ、50万円もかかるようです。退去清算で値段を伝えたところ、「高すぎる!」と言われてしまいました。また、管理会社からは「請求しても払ってもらえないケースもある」と聞きました。いくら空室が埋まるといっても、このような出費が伴うようであれば、まったく意味がありません。
築年数の経った物件の空室を埋める策として、「ペット可物件」があります。常識を持ってペットを飼育してくれるのであればいいですが、中にはヒドイ飼い方をする飼い主もいます。
猫の発情期のオシッコは臭いがきつく簡単には臭いが取れません。一度リフォームをしたのですが、やはり臭いが取れないから、もう1回やったケースもあります。
実をいうと、オーナーがそのまま空き家にしているケースが多いのです。臭いが消えることはないにしても、「気にならない程度になった」とか「気にしない人が住んでくれる」など、そのような妥協しかないようです。管理会社もさまざまな消臭剤を探してきて臭いを消す研究はしているのですが、それも一時的な効果しか期待できません。
不動産オーナーは、入居者に対して「部屋を貸してしまうとひどく汚される!」と思っていたら絶対に貸せません。性善説でなければ大家稼業などやっていられない現実もありますが、それなりに予防すべきだと考えます。そのため、ペット飼育可にする際は、ペットの規約をしっかりと提示します。
原状回復費用が払ってもらえないケースも
それにしてもペットに関しては、ペット飼育が不可の物件で、隠れてペットを飼うトラブルもあれば、「1匹しか飼っていないと信じていたが、いつの間にか20匹に増えていた!」という最悪のケースもあり、そこまでいくと獣臭が取れなくなります。その結果、たとえ家賃が5万円程度でも、修繕費で80万円や100万円もかかってしまうわけです。都心であれば5万円程度の家賃ではワンルームですが、郊外や地方で家賃5万円ともなれば、面積も広くなります。
そして、賃貸契約書ではペット規約違反があれば、入居者が原状回復費用を支払うと決められていても、「高すぎる!」とクレームが出たり、「支払わずに逃げてしまう」というケースもあります。
そのようなリスクがはらんでいることを考えなければいけません。
【ペット規約の参考】