不動産投資に付随するリーガルリスク
「不動産投資」最近、このような言葉をよく見聞きします。不動産投資とは、自分が居住するためではなく、何等か不動産から利益をもらうために、マンション、アパートなどに投資することです。
不動産といえば、一般的には高額なものです。多くの人は、銀行から融資を受けて購入します。けれども、購入した物件を、自分では住まわずに他の人に貸し出すことで、賃料をもらうことができるようになれば、その賃料で銀行の債務(ローン)も返していくことができますし、若干の余りが出れば、それを生活の足しにすることもできます。
ローンが終わったあとに、賃料収入があれば、(物件の経費はかかるものの)賃料収入だけで生活をしていくことができるかもしれません。しかも、購入した不動産が値上がりしていれば、その不動産を売却するなどして、売却益を得るということも考えられるところです。これが不動産投資の大まかな建付けです。
不動産投資がどれだけ儲かるのか、損をしないにはどうすればよいのか、そういった話は別の方にお任せするとして、このコラムでは、不動産投資にはどのようなリーガルリスクがあるのか、どのような法的トラブルが発生する可能性があるのかを考えてみたいと思います。
Aさんが中古不動産を購入した場合
都心の一等地に古いアパートがあったとします。アパートは相当古く、ほとんどが空き家です。一部屋だけ住んでいる人がいるようです。Aさんは、「このアパートと土地をそのまま所有者さんから、そっくりそのまま購入して、そのあと、自分でアパートを建てて、新築のアパートにしてから、テナントをいれよう。そして、賃料収入で生活しよう」と考えたとします。これは、立派な不動産投資です。
上記の事例を考えた場合、まず、Aさんは、アパートと土地の所有者(持主)と交渉して、売買契約を結ぶことになります。まず、この場面では、法律的に留意すべき点が潜んでいます。
アパートと土地の名義を調べたとしても、持主が生きているのかわからない場合があります。名義には「Bさん」と書いてあっても、Bさんが生きているか死んでいるかは名義を眺めているだけではわかりません。もしも、Bさんが死亡しており、かつ、相続処理が未了の場合には、Bさんの相続人全員と交渉しなければなりません。まずこの時点で、真の所有者を見極める必要が出てきます。
また、アパートの空室の部屋の中に、大量の残置物(ゴミ)が残されていた場合、所有者との売買契約では、残置物の処理費用をどちらが負担するかも留意しなければなりません。売買契約書の内容をどうするのか、ひな型の契約書を持ってくるだけでは損をしてしまう可能性があります。
このように売買契約一つとっても、法律的に留意しなければいけない事柄がたくさん潜んでいます。
上記のケースで、Aさんは、無事にアパートと土地を購入しました。一部屋だけ住んでいる人がいたので、「出て行っていただけませんか。立退料をお支払いするので」と声をかけたとします。ところが、その人は「私はこのアパートから徒歩3分のところにある病院に通っています。その病院に通うためには、このアパートから出るわけには行きません。立退料をお支払いいただいても、アパートからは出ません」と言われてしまいました。
アパートの1室を借りている人(借主)は借地借家法で守られています。契約期間が満了しても契約は更新されてしまうのが原則ですので、退去を求めるには、正当事由が必要です。
誤解をしている方も多いですが、立退料を渡せば、必ず出て行っていただけるということにはなりません。上記の例のように、病院に行くためにアパートに住んでいるというのは、合理的な理由によるものなので、アパートから退去いただくのは、それなりに大変といえるでしょう。
このようにアパートに人が住んでいる場合、その人が退去してくれるのかどうか、そして退去を求めるとしても、どのように求めていくのか、ここにもリーガルリスクが潜んでいます。
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