老後資金なんて貯めなければ…年金月29万円の計画的な60代夫婦、年始早々カネの無心にやってくる40代息子たちに疲弊「振る袖すらないほうがよかった」【FPが解説】

老後資金なんて貯めなければ…年金月29万円の計画的な60代夫婦、年始早々カネの無心にやってくる40代息子たちに疲弊「振る袖すらないほうがよかった」【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンの返済、子どもたちの教育費の支払い、その次に待ち受けるのは老後資金です。人生100年時代。思っていたよりも老後資金を用意できなかった、退職後が不安という人は多いでしょう。一方で、計画的に貯められたら貯められたで新たな悩みが出てくる人もいるようで……。本記事ではAさんの事例とともに、老後資金と子どもへの援助をめぐる問題点と、親が取るべき適切な対応について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。

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子どもに迷惑をかけるまいと老後資金を用意

Sさん夫婦は現在69歳の同い年。現役時代は夫を支えながら、妻は扶養の範囲内で働き、2人の息子を育て、67歳で仕事は引退し、穏やかな年金生活を楽しみはじめたおしどり夫婦です。

 

2人の息子たちは独立し、その後結婚。それぞれに子ども(孫)が生まれ、時折、孫を連れて遊びに来てくれるのも一つの楽しみとなっていました。65歳のとき、いままで勤めていた会社から「後進を育てるためにあと2年、継続雇用で働いてほしい」と懇願されました。特に既往症もなく健康なSさんは、身体もまだまだ動くし、この先なにかあっても息子たちに頼ることにはならないようにと老後資金を増やすためにも働くことを決意。サラリーマン生活を2年延長して頑張ってきました。

 

67歳になっていよいよ年金生活に。いままで仕事中心の生活で旅行する機会も少なかったため、妻と名所を巡りでもしながら、温泉に入り疲れを癒そうと、2ヵ月に1,2泊程度の小旅行を楽しんでいました。

 

Sさん夫婦の老後資金は退職金含め4,000万円、住宅ローンは退職金の一部を充て完済しました。年金額は65歳から67歳の2年繰下げし、次のとおりです。
 

出所:筆者作成
[図表]Sさん夫婦の年金 出所:筆者作成

 

※老齢基礎年金は2024年度満額。老齢厚生年金は差額加算を考慮せず。

〇Sさんの平均標準報酬月額は44万円、530月

〇妻の平均標準報酬月額は18万円、60月

妻の振替加算(昭和32年~昭和33年生まれの妻)は4万620円

 

Sさん夫婦の年金額は繰下げすることで月額29万円まで増やすことができました。公益財団法人生命保険文化センターによると、ゆとりある生活には月約39万円という調査結果ですが、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考えられている最低日常生活費をみると、平均額は月額で23万2,000円となっています。Sさん夫婦の年金額は日常の老後生活を送るに十分な額といえそうです。

 

67歳で年金生活になり、これからの老後と終活、相続も視野にいれ、自分たちの想いを息子たちに伝えておこうと、お盆に帰省してきたタイミングで話をすることにしました。

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