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社会から欠如した「教育力」…日本経済衰退を招いた根本原因
濱田
制度の趣旨はその通りですが、進級決定の仕組みの問題もあって、点数主義から抜け出せてはいませんでした。「広く教養を深める」という本来の目的よりも、「いかに高い点数を取るか」を意識して、大して興味もない授業を選択する。そのようなケースも増えていました。「何を学びたいか」ではなく、「どの先生の授業が点数を取りやすいか」が判断の基準になりかねないのです。
言うまでもないことですが、教養とは専門的な学びにとっての大切な基礎となるものです。また、多様な学びをする出発点ともなります。さらに言うと、社会に出れば、点数だけで評価してくれるほど甘くない。だからこそ、大学では点数主義を改めていかなければならないと、強い問題意識を持っていました。
その一環として、進級決定の仕組みを変更したり、分野横断型のプログラムを強化したり、少人数のチュートリアル方式の拡充によって、学生と教員との距離が非常に近くなっています。補助教員も積極的に採用しました。
チュートリアル方式の授業では、論文の発表方法、討論や論文の基本的な作法、あるいは、実験の基本的な作法などを集中的かつ本格的に教えています。これらの授業には多大な労力がかかっていますが、今の東大の制度だからこそ体感できる授業ばかりです。それが私たちの目指した教育改革の形の一つです。
考えてみれば、昔のほうが教え方は粗かったように思いますが、役に立たない学生を企業や社会に送り込んでくるとは言われませんでした。70年代~80年代までは、企業や社会に大学卒の人間を教育する力が残っていました。
しかし、今はそうではありません。以前は「大学で余計なことを教えなくても、企業がしっかり教育するよ」といった声を、しばしば耳にしました。それが今ではできなくなってしまっています。実際のところ、私はそれが社会の教育力の根本的な問題だと思っています。
髙宮
確か経済界が「大学できちんと教育してから社会に送り込んでほしい」と言っていたのが十数年前だったと思います。あるいは、産業界から「学士力」という言葉を突然使い出したと記憶しています。
その頃までは、濱田先生がおっしゃったように、大学教育に期待する部分はまるでなかった。しかし、経済力が低下し、日本企業の余裕がなくなってくると、急に「即戦力で活躍できる学生を送ってほしい」と言われるようになりました。それが問題であるという点には、私自身もまったく同感です。
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