どうやって富裕層へ課税強化するか
富裕層へ課税強化する場合、その対象を財産にするのか、あるいは所得にするのかで分かれます。
さらに区分しますと、財産そのものを対象とする財産税、財産から生じる所得を対象とする富裕税、所得であれば北欧で導入されている「二元的所得税」が検討されてきました。
この「二元的所得税」とは、所得を勤労所得と資本所得を二元的に区分し、前者には累進税率、後者には比例税率を課すものです。要するに、富裕層が優遇されているといわれる「金融・証券税制」の課税のあり方です。
過去に最高税率90%の財産税を実施
財産に対する課税には、固定資産税のようなものもありますが、財産税は第二次世界大戦後の昭和21年に、軍需補償額(軍需会社の損失補償)支払いのため、あるいは国家財政の再建等の目的から、1度だけ実施されました。
財産税は大戦後のインフレーションを終息させるため、預金封鎖、新円切替等の措置が整い、最高税率90%で実施されました。
富裕層の課税に係る報道等では、「財産税の導入」という意見がありますが、財産を対象にする難しさがこの税にはあります。したがって、預金封鎖、新円切替による保有現金の制限等が必要になります。結論として、軽々に財産税というのは問題発言ということになります。