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外国へ移住した場合の日本の年金の課税
日本国内で受給する公的年金は、日本国内の税制に基づき課税されます。しかし、海外に移住した場合、その年金に対する課税は以下のステップに沿って決まります。
ステップ1:移住先の国と日本との間に租税条約が締結されているか?
YES(租税条約がある)→ステップ3へ
NO(租税条約がない) → ステップ2へ
ステップ2:租税条約がない場合
日本と租税条約を締結していない国に移住した場合、日本の公的年金は国内源泉所得とみなされ、日本の非居住者として源泉分離課税が適用されます。計算式は以下になります。
ステップ3:租税条約がある場合
締結されている租税条約に年金条項がある場合、年金に対する課税が軽減または免除される可能性があります。以下の条文は日米租税条約第17条(年金条項)第1項の規定です。
上記の規定は、日本から米国に移住した個人が米国居住者である場合、日本で支払われる退職年金などは米国でのみ課税となり、日本では課税されないという規定です。この規定は、退職後に生活する国でのみ課税することで、国際的に二重課税にならないように配慮したものです。
つまりは、日本から米国に移住し、米国居住者であれば、日本で支払われる年金は米国のみで課税され、日本では非課税になるということです。
ステップ4:年金条項がない場合
租税条約があっても年金条項がない国(カナダ、スウェーデン、タイ、南アフリカなど)に移住すると、日本の源泉徴収(20.42%)が適用される可能性が高く、現地での課税も発生するため、二重課税のリスクがあります。
該当する国の租税条約では「その他所得条項」が適用され、多くの場合、源泉地国課税(日本で課税)となります。
日本と年金条項のある租税条約を締結している国への移住
年金条項のある租税条約を締結している国への移住の場合、移住先の国(居住地国)で課税され、支払い国である日本では課税がないことは、先に説明しました。
ただし一部の租税条約では源泉地国(日本)での課税も認められています。
アイスランド、デンマーク、ベルギー、ロシアの租税条約は、以下のただし書きにより源泉地国課税も認めています。
以下は、アイスランド租税条約第17条第1項のただし書きの部分です。
また、日独租税協定の年金条項(第17条)では、上記と異なる規定があり、源泉地国課税が認められています。
条約で相手国が所得税を課さない場合
日本は、中東の産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)やオマーン、カタール、クウェート、サウジアラビアと租税条約を締結しています。これらの租税条約の年金条項は、居住地国課税を規定しています。日本からこれらの国に移住して年金を受け取る場合、居住地国である上記の産油国のみの課税になりますが、これらの国は個人の所得税がありません。結果として、日本と移住先の上記の国々の双方で課税がないことになります。
海外移住を計画する際は、移住先の租税条約と年金課税の仕組みを十分理解し、税務リスクを最小限に抑えることが重要です。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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