(※写真はイメージです/PIXTA)

相続人がいない場合、被相続人の財産は国に帰属するのが一般的です。しかし、特別な事情がある場合には「特別縁故者」として財産を受け取ることが認められる可能性があります。では、どのような人が特別縁故者と認定され、財産分与を受けられるのでしょうか。本記事では、特別縁故者の定義や認定条件、申立ての手続きなどについて詳しく解説します。

特別縁故者が知るべき「相続税」における4つの注意点

特別縁故者が財産を受け取る場合、「遺贈」として扱われますが、これも相続税の対象です。

 

ただし、通常の相続と異なる点があるため、特別縁故者が遺贈を受ける際には、以下の4つのポイントに注意してください。

基礎控除額と課税の仕組み

相続税は、遺産総額から「基礎控除額」を差し引いた額に対して課される税金です。

 

通常、基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」で計算されます。しかし、特別縁故者が相続する場合は法定相続人がいないため、基礎控除額は一律で3,000万円となります。

 

そのため、遺産が3,000万円以下であれば相続税はかかりませんが、3,000万円を超える場合は課税対象となり、申告が必要です。

適用外となる控除と特例

特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人だけに適用される各種税額控除は利用できません。

 

ここでの税額控除とは、基礎控除以外の「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」「未成年者控除」などを指します。これらの控除を受けるには、被相続人の生前に「婚姻届を提出する」「養子縁組を行う」など、法的に家族関係を築いておく必要があります。

相続税の割増と追加課税

特別縁故者が財産を引き継ぐ場合、相続税に「2割加算」が適用されます。

 

この2割加算は、被相続人の配偶者や子ども、両親以外の人が遺産を受け取る際に課される追加課税です。特別縁故者は、この加算の対象となり、通常の相続税にさらに2割が上乗せされます。

 

ただし、先述の通り相続税の基礎控除である3,000万円が適用されるため、相続を受けた合計が3,000万円以内であれば課税対象外です。

申告期限と評価時点の特殊性

特別縁故者が財産を引き継いで相続税がかかる場合、申告が必要です。通常の相続税申告期限とは異なり、特別縁故者の場合は「特別縁故者の財産分与の審判が確定した翌日から10ヵ月以内」が申告期限となります。

 

この点を見落とすと、延滞税や状況によっては加算税が発生するため、期限には特に注意が必要です。

特別縁故者制度を活用するためのコツ

特別縁故者制度を効果的に活用するには、事前の準備が欠かせません。特別縁故者として認定されるためには、生前の関係を示す確かな証拠が必要であり、また手続きには専門的な知識も求められます。ここでは、制度を活用する際に役立つポイントや注意点について詳しく解説します。

生前の関係性証明の重要性

特別縁故者として認められるには、被相続人との生前の関係を証明できることが重要です。裁判所が特別縁故者として認定するためには、申立書だけでなく、客観的な証拠が求められます。生前の関係を証明する資料が多いほど、認定される可能性が高まります。

 

関係性を示すための有効な証拠例は、以下の通りです。

 

1.被相続人と生計を共にしていた場合

 

・同居年数が確認できる住民票

 

・定期的な振り込みがあった通帳など

 

2.被相続人の療養看護に努めていた場合

 

・看護や介護のやり取りがわかるメール、LINE、SNS、手紙など

 

・医療費や介護費の領収書

 

・訪問や通院にかかる交通費の領収書

 

3.被相続人と特別な縁があった場合

 

・親密な関係を示すメッセージや手紙

 

・共に過ごした写真や日記

 

・無効になった遺言書など

 

これらの証拠がそろっていれば、被相続人と特別な関係があったことを強く示すことができ、特別縁故者として認定されやすくなります。生前の関係を証明する資料をしっかりと準備することが大切です。

 

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