評価額1,000万円の実家は兄に…「でも、介護は女の子のあなたがお願いね」と悪びれもなく言い放つ母。地元・九州で親の面倒を一身に引き受けてきた〈55歳女性〉がついに家族を見切ったワケ【CFPの助言】

評価額1,000万円の実家は兄に…「でも、介護は女の子のあなたがお願いね」と悪びれもなく言い放つ母。地元・九州で親の面倒を一身に引き受けてきた〈55歳女性〉がついに家族を見切ったワケ【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

美保さん(55歳)は1度結婚したものの離婚し、1人で暮らしています。そんなとき、父親が亡くなり、離れて暮らしている兄との財産分与に不満を感じずにはいられませんでした。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、相続の際の財産分与について解説します。

ずっと地元で暮らしてきた美保さん

55歳の美保さんは大学こそは自宅を離れて通ったものの、就職時には九州の地元に戻り、両親と住んでいました。結婚しても転勤などなく、地元での生活を続けています。

 

美保さんには2つ上の兄がいますが、結婚して間もなく夫の転勤で大阪に引越し、それ以来ずっと大阪に住んでいます。

思ってもみなかった介護生活

美保さんは15年間の結婚生活にピリオドを打ち、その後は1人で暮らしています。結婚している間に購入したマンションはローンの返済が完了していたこともあり、美保さんが住むことになりました。もちろんその際の登記や持分については清算済です。

 

そして1人で生活している中で、50歳を過ぎたころから、両親から頻繁に連絡が入るようになったのです。それは病院に通うときの付き添いや、家での介護です。

 

両親の年齢も75歳を超え、病気をする機会が増えてきたのです。

 

両親が美保さんを頼ったのは、美保さんが離婚後フリーランスとして生活しており、割と時間に自由がきくと思われていたことが原因です。とはいえ、仕事をしなければ収入がないことから、仕事の時間は確保しなければなりません。繁忙期には土日も休めないほどの仕事をこなしていた美保さんは、いきなり突きつけられた介護の状態に戸惑うばかりでした。

 

両親はもう車の免許を返納しているたえ、病院に行くとなれば連れて行かなければなりません。両親のどちらかが入院した場合は、片方の食事など家事もこなさなければなりません。

 

あまりの忙しさに大坂にいる兄に少しでも手伝ってほしいとお願いしたものの、無理とのこと。結局、美保さんは身体を壊す直前の状態で介護を続ける生活をずっと続けていました。

驚いた財産分与の内容

そんななか、父が亡くなり、両親が住んでいる家は母が、そして父が保有していた金融資産は母と兄、そして美保さんと3等分することになったのです。

 

そして、驚いたのは母の言葉です。

 

母は「私が死んだらこの家は孝政(美保さんの兄)に譲る」と言ってきたのです。母には家以外の金融資産はほぼありません。

 

もちろん美保さんも自分の家を保有しているとはいえ、実際には父が保有していた家の評価額も含め、法定相続割合に沿って遺産を分けるべきです。

 

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