追いつめられる低単価・低収益の診療科
近年、クリニックの経営は悪化の一途をたどっています。2023年度の医療機関全体での休廃業・解散件数は、前年度比37.1%増となる709件となりました。このうちクリニックは580件と全体の約8割を占めています(東京商工リサーチ)。この数字はこれまで最多だった2019年度の561件を148件上回り、過去最多となっています。
クリニックの中でも特に収益性が悪くなりやすいのが、内科や皮膚科、小児科、耳鼻咽喉科などです。私の専門科である耳鼻科の診療単価は一人当たり平均5000円程度といわれています。全国のクリニック平均とされる1日40人の外来患者があったとすると、1日の売上は単純計算で20万円。1カ月に20日診察すれば、月の売上は400万円程度です。
医療コンサル会社のメディヴァが提供している資料によれば、平均的なクリニックのひと月のコストは約330万円となっています。そうすると一カ月の売上から原材料費や院長の報酬を除いた人件費、賃料などといったすべてのコストを引いた税引前の医業利益は約70万円。ここに借り入れに伴う金利の支払いなどを加えれば、利益はそれほど残らないということになります。
保険診療中心の皮膚科であれば耳鼻科よりもさらに診療単価が低いといわれており、より多くの患者を診察しなければ成り立たないことになります。
少子化によって患者数自体の確保も難しくなる小児科は、成人中心の今の診療報酬体系下で収益性は相対的に低くなっているので、同じく経営は容易ではありません。
度重なる診療報酬のマイナス改定がクリニックの収入を減らす
ただでさえ収益性が良くないクリニックの経営を、収入面から苦しめるのが度重なる診療報酬のマイナス改定です。保険診療は診療報酬制度によって一つひとつの医療行為の金額が定められているので、そのルール内でいかに収益を上げていくかがポイントとなります。
2024年の診療報酬改定では、初診料などの保険点数は上昇したものの、薬価を含めた全体では0.12%のマイナスと、実に6期連続でマイナスの改定が続いています。診療科によって多少のばらつきはあるものの、保険診療を中心とした診療科のクリニックにとって、減り続ける診療報酬は自分たちで手の打ちようのない減収要因となっており、安定した収入を確保するためには患者数を増やすか、より高い保険診療をするしかありません。
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