クリニック開業には多額の資金が必要となります。本記事では、医師で経営者の髙松俊輔氏の著書『低単価の診療科で高収益を実現するクリニック・ドミナント戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集し、開業資金の内訳とともに融資の受け方や医院承継による費用削減など、開業資金に関する実践的な情報を提供します。

開院に向けた資金計画

クリニック開業に向けた準備について、特に欠かせない要素として資金計画が挙げられます。一般的なクリニック開業に必要な資金については、内装費用や医療機器といった大きなものから、広告宣伝費や消耗品費などの小さなものまで、さまざまな項目があります。勤務医の場合、これらの費用は普段あまりなじみがないものも多いと思います。そこで、一般的な内科クリニック(テナント開業)のケースを例に挙げ、具体的に説明していきます。

 

一般的な内科クリニックの開業費用の内訳

合計1億29万円

 

・内装造作費=2800万円……院内の床、壁、天井の組み立てや装飾、付随する照明、空調などの費用・工事単価。坪あたり60万〜70万円程度

 

・医療機器=2000万円……電子カルテ、一般撮影装置、超音波診断装置、内視鏡、心電計、CR等の費用

 

・什器備品=200万円……待合ソファー、診察机および椅子、休憩室用机および椅子、電話設備、レジスター、タイムカード等の費用

 

・敷金(または保証金)=432万円……賃貸借契約に際し、賃料等の契約上の債務を担保するために預ける費用。月額賃料の6〜12カ月分程度

 

・礼金+仲介手数料=159万円……礼金は賃貸借契約の謝礼として賃貸人に支払う費用。仲介手数料は賃貸借契約に際し不動産会社を通した場合に支払う手数料。各々月額賃料の1カ月程度(礼金は2、3カ月分のケースもあり)

 

・前家賃=238万円……賃貸借契約開始から開業前(内装工事等の準備期間)までに発生する家賃3カ月分程度

 

・運転資金=3500万円……開業当初の売上が少ない時期でも人件費や家賃等の固定費を支払う必要があり、その費用をあらかじめ想定して準備しておく資金

 

・医師会入会金=200万円……医師会に入会する場合に必要となる費用。金額は各医師会により差異あり

 

・広告宣伝費=300万円……開業時に制作する開院チラシ、リーフレット、ホームページ、看板等の費用

 

・消耗品+予備費=200万円……開業時の診察券等印刷物、筆記用具等の事務用品、医薬品等および予備費

 

内装費用

次に、必要資金額に大きな影響を与える内装費について考えてみます。テナント面積が広くなるほど、内装費用や敷金等も増加していきます。自分の診療科に適した広さを把握しておくことは、資金計画を立てるうえでも物件探しの際にも重要なポイントになります。

 

・内科=35〜50坪/2800万円(内視鏡ありの場合50坪が理想)

 

・小児科=30〜40坪/2450万円(2診+隔離室。X線室を設ける場合35坪以上は必要)

 

・整形外科=60〜80坪/3900万円(リハビリ室は14坪以上確保)

 

・耳鼻咽喉科=30〜40坪/2450万円(繁忙期には待合室が混雑するので40坪確保するのが理想)

 

・皮膚科=25〜35坪/2100万円(レーザー治療ありの場合、30坪以上必要)

 

・眼科=30〜40坪/2450万円(手術室ありの場合最低50坪は必要)

 

・脳神経外科=60〜70坪/6500万円(MRI、CT導入のケース。シールド、X線防護工事があるので注意)

 

診察・治療機器費用

また、開業時に必要となる医療機器も診療科によって異なります。自分の診療科に必要な医療機器の種類や数量を確認しておくことで、より正確な資金計画を立てることができます。

 

【一般内科】

一般撮影装置230万円/CR、PACS装置230万円/超音波画像診断装置300万円/電子内視鏡システム680万円/内視鏡洗浄器180万円/心電計80万円/電子カルテ300万円/受付周辺機器200万円=合計2200万円

 

【小児科】

一般撮影装置230万円/CR、PACS装置230万円/血球計数CRP測定装置350万円/滅菌器30万円/電子カルテ300万円/受付周辺機器200万円=合計1340万円

 

【整形外科】

一般撮影装置450万円/CR、PACS装置700万円/超音波画像診断装置300万円/骨密度測定装置(DXA式)280万円/リハビリ機器1120万円/ギプスカッター20万円/滅菌器30万円/電子カルテ400万円(4台構成)=合計3300万円

 

【耳鼻咽喉科】

一般撮影装置350万円/CR装置200万円/診療ユニット170万円/電動椅子140万円/ネブライザー160万円(3人用)/電子内視鏡システム350万円/オージオメータ聴力検査室310万円/滅菌器30万円/画像ファイリングシステム160万円/電子カルテ300万円/受付周辺機器200万円=合計2370万円

 

【皮膚科】

顕微鏡30万円/CO2レーザー装置250万円/Qスイッチレーザー装置840万円/滅菌器30万円/電子カルテ300万円/受付周辺機器200万円=合計1650万円

 

【眼科】

眼底カメラ320万円/眼圧計320万円/静的視野計380万円/液晶視力表45万円/診療デスク・電動椅子80万円/検眼鏡15万円/スリットランプ280万円/レンズメーター30万円/滅菌器30万円/電子カルテ300万円/受付周辺機器200万円/眼科向け電子カルテファイリング機能付1000万円/白内障手術器械一式2000万円=合計5000万円

 

【脳神経外科】

一般撮影装置230万円/MRI装置7500万円/CT装置1800万円/CR、PACS装置1200万円/超音波画像診断装置270万円/電子カルテ400万円(4台構成)/受付周辺機器200万円=合計1億1600万円

 

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※本連載は髙松俊輔氏の著書『低単価の診療科で高収益を実現するクリニック・ドミナント戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

低単価の診療科で高収益を実現するクリニック・ドミナント戦略

低単価の診療科で高収益を実現するクリニック・ドミナント戦略

髙松 俊輔

幻冬舎メディアコンサルティング

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