絶望的すぎます…夫亡き後の年金がわずか「月6万円」に激減で窮地に。年金暮らし専業主婦を追い詰める“厳しすぎる現実”【FPの助言】

絶望的すぎます…夫亡き後の年金がわずか「月6万円」に激減で窮地に。年金暮らし専業主婦を追い詰める“厳しすぎる現実”【FPの助言】
(画像はイメージです/PIXTA)

夫婦の年金暮らしが始まると、老後生活が大丈夫か途端に不安になるという人は少なくありません。今回の相談者は65歳専業主婦。現役時代の夫の年収は500万円程度と少なくはありませんでしたが、専業主婦の世帯には「夫が亡くなった後」に大きな落とし穴が待ち受けています。今回は会社員の妻と自営業の妻のケースを比較しつつ、FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

夫を亡くした妻は「がくっと減る年金額」に要注意

もうひとつ気を付けたいのは、配偶者の1人が亡くなったときには、世帯の年金額が減ることです。配偶者が亡くなった時に受け取れる「遺族年金」という制度がありますが、受給にはさまざまな条件があります。遺族年金は遺族基礎年金・遺族厚生年金に分かれますが、ご相談者のケースでは、万一奥様が先に亡くなった場合ご主人は遺族年金を受け取れず、ご自身の年金だけになります。

 

さらに厳しいのは、ご主人のほうが妻より先に亡くなったケースです。奥様は自身の国民年金が受け取れますが、ご主人の遺族基礎年金は対象外。というのも、遺族基礎年金の受給対象者は、原則として18歳未満の子のある配偶者、または18歳未満の子どもです。この条件を満たさないため、対象外になります。

 

一方で、遺族厚生年金は受け取れますが、ご主人が受け取っていた厚生年金の報酬比例部分の4分の3だけです。つまり、配偶者を亡くしたあとの年金生活は、元々自分の年金額が乏しい妻のほうが厳しくなります。

 

ただ、生活が立ちゆかない時には生活保護の最低生活費の支給を頼ることもできます。東京都では生活扶助が約7万円、住宅扶助が約5万円です。社会保障が守ってくれることを覚えておきましょう。

 

配偶者が先立ち年金が減ったことで「生活が厳しい」と家賃削減のため引っ越しを考える人もいるでしょう。賃貸住宅へ入居するには連帯保証人が必要なことが少なくありません。また、賃貸のオーナーは孤独死のリスクを懸念して「高齢者のおひとり様」との賃貸契約を敬遠しがちである点などには注意し、根気強く探すとよいでしょう。

「自営業の夫+専業主婦」の場合はさらに厳しい

ご相談者自身のケースは「会社員+専業主婦」ですが、ご相談者の妹さん夫婦のように「自営業者+専業主婦」の場合はどうでしょうか。この場合、前者のケースとは計算が変わります。

 

「自営業者+専業主婦」の年金は、それぞれの国民年金が満額支給されるとしても月12万円です。ご主人が亡くなったあと、妻は「遺族厚生年金」も「遺族基礎年金」ももらえません。つまり、自分の年金である月6万円がすべてです。ここが、夫が会社員の妻と大きく違うところです。

 

ご主人の分の遺族年金がまったくもらえないことに驚く人もいるかもしれません。繰り返しになりますが、遺族基礎年金の受給対象者は、原則として、18歳未満の子のある配偶者、または18歳未満の子どもです。妹さん夫婦に18歳未満のお子さんがいれば別ですが、そうでない場合は遺族基礎年金は対象外です。

 

こうした実情に、「あまりに厳しい、絶望的だ」という声も聞こえてきます。では、年金が足りない分はどうしたらいいのでしょうか。解決策としては、シンプルですが働いて収入を得ること。高齢者の就労環境の整備も進んでいますので、身体が動く限り働き続けるというのがひとつです。

 

また、年金の繰下げ受給で毎月の年金額を増やすようにするのも一考です。75歳まで受給開始を繰り下げることができれば、65歳でもらう年金額の1.8倍を毎月もらえるようになります。ただし、繰下げ期間中の生活費をやりくりする必要がある点には注意が必要です。

 

何も手を打たなければ老後生活が厳しいものとなる人もいるかもしれません。悲惨な老後とならないよう、もしものときにどうするのか早めに夫婦で相談し、「命はあるがお金がない」という状況だけは回避したいものです。

 

 

岸田 康雄

公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

 

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