夫が亡くなった65歳女性、スムーズに遺産分割協議が進んだものの…法務局からの〈思わぬ差し戻し〉に驚いたワケ【相続の専門家が解説】

夫が亡くなった65歳女性、スムーズに遺産分割協議が進んだものの…法務局からの〈思わぬ差し戻し〉に驚いたワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

実印だと思って押した印鑑が、それと似た認印で実印ではなかったために、法務局などから申請が突き返されてしまうといったケースが少なくありません。本記事では、実印の管理方法などについて、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

遺産分割協議書には実印押印、印鑑証明書を添付する

相続の際に遺言書があれば、それが亡くなった人の意思として優先されます。しかし、遺言書がない場合やあっても遺産分割法についての指定がない場合などは、相続人全員で話し合い、納得のいく分割方法を決めなければなりません。

 

遺産の分配を「遺産分割」といい、その割合を「相続分」といいます。遺産分割は、必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はなく、相続人全員が納得すればどのように分けてもかまいません。

 

遺産分割の内容がまとまって全員の合意が得られれば、「遺産分割協議書」を作ります。この協議書は相続人全員が同意をしたという証拠になり、後の争いを回避するためのものです。そのために、「実印」を押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。

遺産分割協議書の作り方

遺産分割協議書の作成には、特に決まったルールはありませんが、①相続人全員が名を連ねること、②印鑑証明を受けた「実印」を押すことの2点は必須となります。未成年者や認知などで代理人を選任した場合は、代理人の実印、印鑑証明が必要になります。

 

〔遺産分割協議書の作成例〕

 

遺産分割協議書

 

被相続人○○○○(○○年○○月○○日死亡)の遺産については、同人の相続人の全員において分割協議を行った結果、次のとおり遺産を分割し、取得することに決定した。

 

1.相続人○○○○は被相続人○○○○の次の遺産を取得する。

(1)土地所在○○○市○○○町三丁目

地番○○番○○

地目宅地

地積○○○.○○㎡

 

2.相続人○○○○は被相続人○○○○の次の遺産を取得する。

1)○○銀行○○本店定期預金(口座番号○○○○○○○)

2)○○銀行○○本店普通預金(口座番号○○○○○○○)

 

3.本協議書に記載なき資産及び後日判明した遺産については相続人○○○○が取得する。

 

上記の通り、相続人による遺産分割の協議が成立したので、これを証するため、本書2通を作成し、各1通ずつ所持する。

 

令和年月日

○○○市○○○丁目○○番○号

相続人○○○○実印

 

 

○○○市○○○丁目○○番○号

相続人○○○○実印

 

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