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相続人同士でもめているなどの理由で遺産の承継方法が決まらない場合、相続税は未分割の状態で申告します。未分割で申告するときの問題点について税理士が解説します。

未分割時の相続税についてよくあるトラブル

相続財産が未分割のまま相続税を申告するようなケースでは、さまざまなトラブルが起こることがあります。ここでは、未分割時の相続税についてよくあるトラブルを2つご紹介します。

 

一次相続の遺産分割が未了のまま二次相続が発生した

被相続人が亡くなって、配偶者と子どもが相続人となったあと、その配偶者が亡くなり二度目の相続が発生するケースがあります。この場合、最初の相続を一次相続、その次の相続を二次相続といいます。

 

一次相続の申告手続きが終わっていない状態で二次相続が発生している場合でも、別々に相続税の申告手続きをしなければなりません。一次相続と二次相続のどちらの被相続人も遺言書を残していない場合、遺産分割協議書もそれぞれ作成をする必要があります

 

一次相続の遺産分割が完了しないうちに二次相続が発生すると、遺産分割や相続税の課税関係などが複雑になり、トラブルに発展するケースがあります。

 

たとえば、一次相続で夫が亡くなり、妻、長男、長女の3人が相続人になったとしましょう。長男と長女は仲が悪いため、一次相続では妻(子ども達の母親)が仲裁をしながら、誰がどのように遺産を引き継ぐのかを話し合うことになりました。

 

しかし、一次相続での遺産の承継方法が決まらないまま、今度は妻が亡くなって二次相続が発生します。仲裁役がいなくなった長男と長女は、未分割である一次相続の遺産と、二次相続で母親が残した遺産の分け方で意見が合わず、トラブルに発展してしまいました。

 

また、一次相続の遺産が未分割の状態で二次相続が始まると、相続財産が合計でいくらあるのかが把握しにくくなり、遺産分割協議や相続税の計算が難航することもあります。

 

一次相続の遺産が未分割の状態で二次相続が発生したとき、相続人のあいだでトラブルが生じる可能性がある場合は、早めに弁護士に相談をするのがよいでしょう。また、相続税の申告・納税については、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

 

土地が適切に管理されず放置された

相続した土地が未分割である場合、その土地は相続人の共有状態となります。長期にわたって土地を未分割のままにすると、誰が管理の責任を負っているかわからなくなり、適切に管理がなされずトラブルが発生することがあります。

 

たとえば、雑草が生い茂ったり不法投棄の温床となったりすることで、地域の景観や環境に悪影響を与えるかもしれません。近隣住民からの苦情が入り、相続人とのあいだで揉め事が生じる恐れもあります。

 

また、適切に管理されていない土地は、資産価値が下落しやすくなります。将来的に、土地を売却しようとしても、買い手がなかなか見つからず、たとえ見つけられたとしても安値で買いたたかれてしまうかもしれません。

 

加えて、土地の管理費用を誰が負担するかが不明確になり、相続人同士でトラブルになるケースも考えられます。土地の所有者に課せられる税金である固定資産税の支払いが滞れば、延滞金の請求や財産の差し押えが行われることもあります。

 

未分割の状態が長期化すると、土地を共有する相続人が亡くなったときに権利関係が複雑化してしまいかねません。やがては土地の所有者が誰であるかわからなくなり、管理や売却などがさらに困難になる恐れもあります。

 

このように、相続した土地が未分割のまま放置されると、さまざまな問題が生じやすくなります。相続が発生した際は、弁護士や司法書士などの専門家にもサポートを依頼のうえ、できるだけ早く遺産分割協議を行い、土地の所有者を明確にすることが大切です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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