※画像はイメージです/PIXTA

相続人同士でもめているなどの理由で遺産の承継方法が決まらない場合、相続税は未分割の状態で申告します。未分割で申告するときの問題点について税理士が解説します。

分割見込書提出後の流れ

3年以内に遺産分割協議を行う

分割見込書を提出したあとは、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割を完了させましょう。この期間内に分割が完了しなければ、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの特例は適用できないためです。

 

被相続人が遺言書を残していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議をします。遺産分割協議で遺産の承継方法を決める場合、相続人の全員が合意した分割内容を遺産分割協議書に記載します。すべての相続人が一箇所に集まって話し合いをする必要はなく、電話やメール、郵送などで協議をしても問題ありません。

 

相続人のあいだで協議内容の折り合いがつかない場合は、弁護士に仲介を依頼しましょう。それでも分割方法が決まらないときは、遺産分割調停を申し立てることになります。

 

協議成立後4ヵ月以内に修正申告(更正の請求)を行う

遺産の分割方法が決まったら、更正の請求または修正申告をして本来の相続税額を申告します。このうち更正の請求の期限は、分割方法が決まった日の翌日から4ヵ月以内です。更正の請求と修正申告は、それぞれ以下のようなケースで行います。

 

更正の請求:初めに申告した税額よりも実際の分割にもとづく税額が少ない場合

修正申告:初めに申告した税額よりも実際の分割にもとづく税額が多い場合

 

たとえば、未分割の状態で計算した相続税が1,000万円だったとしましょう。遺産分割が完了したあとの相続税額が800万円になった場合、更正の請求をすることで払いすぎた200万円が還付されます。一方、本体の相続税が1,200万円である場合は、修正申告をして200万円を追加で納税します。

 

相続税の申告をやり直す際に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを適用する場合、遺産分割後の相続税額のほうが低くなり、還付金を受け取れるケースが多いようです。

 

更正の請求の期限を過ぎると、特例の適用ができなくなる可能性があります。遺産の分割方法が決まり、本来の税額が少ない場合は、期限内に更正の請求をしましょう。また、相続税の計算は複雑であり、専門知識がなければ税額を正確に算出するのは難しいため、相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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