他人なら犯罪でも身内には通用しない
亡くなる3年前の贈与は相続財産として加算しますから、まずは相続財産として申告、納税することが必須です。3人で分けることを姉に提案してみるべきですが、姉は母親からもらったので弟たちに分けるなんてとんでもないということでしょう。
まして母親の了解なしに自分のものにしたとすれば、他人なら犯罪ですが、身内の場合は判断が難しいため、家族の話し合いで解決することになります。姉が認めなければもらいきりで、一人勝ちという結果となります。
調停してもいいことはない
解決する手段として調停に持ち込み、事実を明らかにしていく方法もありますが、「母親の依頼で下ろして渡したのであとは知らない」と姉が言い張れば、それで済んでしまうこともあり、結果は変わらない可能性が高いと言えます。
姉に法律や理屈を突きつけても逆切れされて関係は悪化することは想像に難くありません。きょうだいよりもお金に頼るのは残念ですが、姉の選択で致し方ないと受け止めて切り替えていったほうが賢明だと言えます。
結局和男さんは、「弟とも相談してみます」と帰られました。後味が良いとは言えない結末になりましたが、「話して少し気持ちが楽になりました」と帰った和男さんの後ろ姿に少しホッとしました。
※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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