同居してきた父が亡くなり、140坪の土地と自宅を相続することになった恵子さん(65歳女性)。現在はその相続した自宅に、30代の娘2人と3人で暮らしています。しかしその娘2人ともが、一方は病気で、一方は引きこもりと、仕事をして収入を得ることができていない状況です。娘たちの将来の生活がどんどんと不安になる恵子さん……。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)はどのような方法を提案したのでしょうか。
自宅の活用で収入を得る
恵子さんの財産の7割が自宅の土地です。140坪に自宅と畑という現状では、3人で暮らすにも効率が悪く、また収入もないため、持ち出し状態です。
そこで、「自宅土地の活用方法」をあげて、4つの選択肢を提案しました。
【1】自宅土地をそのまま残し、賃貸併用住宅を建てる
【2】自宅土地の奥半分を売却し、売れたお金で手前土地に賃貸併用住宅を建てる
【3】自宅手前を売却し、売れたお金で奥に賃貸併用住宅を建てる
【4】自宅土地を売却して、別の立地に自宅と賃貸不動産を購入する
それぞれ、メリット、デメリットがあります。
【1】自宅土地をそのまま残し、賃貸併用住宅を建てる
メリット
- 自宅土地はそのまま残せる
- 家賃が入り返済もでき、手元にも残る
デメリット
- 3階建ての賃貸併用住宅が建ち、建築費が4億円ほどかかる
【2】自宅土地の奥半分を売却し、売れたお金で手前土地に賃貸併用住宅を建てる
メリット
- 自宅土地の半分は残せる
- 家賃が入り返済もでき、手元にも残る
デメリット
【3】自宅手前を売却し、売れたお金で奥に賃貸併用住宅を建てる
メリット
- 自宅土地の半分は残せる、
- 家賃が入り返済もでき、手元にも残る
デメリット
【4】自宅土地を売却して、別の立地に自宅と賃貸不動産を購入する
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載相続のプロが解説!人生100年時代「生前対策」のアドバイス事例